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2005年2月13日 (日)

資本の循環

今日は「東京学習会議」の『資本論』第2巻講座の第2回でした。今日から本編に入るわけです。第1篇の講師は石原洋介氏(大学講師)、私と同い年の若手研究者で、ご専門は国際経済論だそうです。

『資本論』第2巻は副題が「資本の流通過程」といって、「資本」の運動全体の中で、生産過程とともに構成部分を占める「流通過程」を研究の対象にします。構成は3つの篇からなります。ある資本は、前貸しする貨幣で生産要素(生産手段と労働力=「労働」ではないことに注意)を購入し、これらを使って商品を生産し、その商品を売って貨幣(当初前貸ししたよりも大きい額の)貨幣を手に入れる――という運動を行うわけです。これを記号を使って表すと、

G(貨幣)―W(商品:生産手段Pmと労働力A)…P(生産過程)…W’(剰余価値を含む商品)―G’(剰余価値を含む貨幣)

となります(上の図で「―」は流通を表し、G―Wは貨幣が同価値の商品に交換されることを意味します)。そして資本は、これを繰り返して運動しています。記号で表すと、

G―W…P…W’―G’・G―W…P…W’―G’・G―W…P…W’―G’・G―W(以下略)

ですね。第1篇「資本の循環」は、この運動の過程を、流通の角度から研究するわけです。(生産過程の分析は、すでに第1巻で行っています)

これに対して第2篇「資本の回転」は、資本が循環を繰り返して利潤(厳密には、この段階では「剰余価値」なわけですが)を生産し続ける過程(これを回転といいます)を研究します。そして第3篇では、これまで個別の資本の運動だけだった研究の対象を、社会全体の資本の「総体としての運動」に広げて、それが生産を繰り返す(再生産)条件を研究するわけです。

今日は、その第1篇のうち、第1章「貨幣資本の循環」を勉強してきました。貨幣資本の循環過程は、ある一定額の貨幣を循環させることで、W(=Pm+A)、P、W’という段階を次々に経過して(ここで資本が運動のなかで経過していく段階としてのPを「生産資本」、W’を「商品資本」と呼びます)、より大きな価値に増殖する、という資本の循環の目的と結果を表します。それによって、この「ある一定額の貨幣」は「資本」という性格を持っているわけです。この一連の過程を次々に経過して運動する資本を「産業資本」と呼びます。

第1章は、大雑把にいうとこういう内容です。ところで、資本の循環過程は、繰り返しを通して見ると、
  貨幣資本の循環G―W…P…W’―G’ 【これを「G…G’循環」と呼びます】
  生産資本の循環P…W’―G’・G―W…P 【同様に、「P…P循環」】
  商品資本の循環W’―G’・G―W…P…W’ 【同様に、「W’…W’循環」】

という、3つの側面を併せ持っていることが分かります。これを分析するのが第2章「生産資本の循環」、第3章「商品資本の循環」です。長くなるので(ていうかすでに長い)省略しますが、この2つの循環過程は、再生産の過程を前提条件として含んでいます(「G…G’循環」は含んでいません。つまり循環が終わったところで撤退してもよいわけです)。ここで再生産のためにはW’はGに転化しなければなりませんが、この資本が無事再生産を行うためには、W’が必ずしも最終消費者に購入される必要はありません(別の資本家でも、商人でもよい)。言葉を変えれば、”商品が自分の手から売れれば、後はとりあえずよい”わけです。こうして商品に対する「現実の需要」から「外観上の需要」が乖離していくのですが、実は、ここに恐慌の重要な基礎があるのです。

「商品資本の循環」は、生産された商品が出発点となり、さらに流通過程をへて次の生産過程を準備するため、社会的に見た場合は商品の資本家と労働者への分配と消費(による労働力の再生産)を循環の内部に包含することになるので、どうしたら次の循環過程が無事に開始できるか、という問題を含むことになります。そのため、「W’…W’循環」は社会的総資本の考察に適した形態となります。経済学の歴史では、古典派経済学の初期の学者、フランソワ=ケネーの「経済表」がこの循環を考察しており、マルクスはこのことをケネーの「偉大な真の見識を示す」ものだと評価しています。ちなみに、マルクスの「再生産表式」も、この視点を受け継いでいますね。(その話はそのうち^^)

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