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2005年5月 9日 (月)

久々に「資本論」講座の話

久々に、「資本論」講座(東京学習会議主催)の話。ってゆーか、これまでちゃんと書いていなかったなあ。

今回から第2篇「資本の回転」です。資本は、

貨幣(G)―商品(W)【労働力(A)と生産手段(Pm)】…生産過程(P)…商品(W’)―貨幣(G’)

という循環運動をへてその価値を増殖するわけですが(ここで想定しているのは産業資本です。商業資本や利子生み資本=金融はまだ登場しません)、この循環運動をGの循環運動、Pの循環運動、W’の循環運動という3つの角度から分析を加えたのが、第1篇「資本の循環」でした。

資本は、実際にはこの循環運動を次々繰り返して、価値増殖を続けていきます。第2篇では、この循環運動の繰り返し(これを「資本の回転」といいます)について分析するわけです。

講師は辻岡靖仁氏(労働者教育協会の前会長)です。

今日は、おもに第2篇の前半部分、<固定資本>と<流動資本>の概念についての話でした。マルクス経済学では、資本主義的な生産過程で、労働力がその消費、つまり労働によって、新しい価値を作り出すとともに、生産手段(現代の例では工場、機械、原材料など)を使ってその価値を生産物に移すととらえるわけですが、この過程で、労働手段(上記の例では工場や機械)は何度もの生産過程で繰り返して使用され、寿命を終えるまでの間にその価値を少しずつ生産物に移転していきます。この部分を<固定資本>といい、それ以外の部分(例では原材料と、労働力)を<流動資本>といいます。流動資本は、1回の生産過程で、全て消費され、次の生産過程が始まるさいには、また新しい材料が補填されます。(労働力の場合は、生活により労働者の労働力が消費可能な状態に回復される)

固定資本は摩滅する(摩滅のし方は大別して①使用による場合≒すり減る②自然力の作用≒サビる③社会基準上の摩滅≒遅れる―があります)と次の固定資本を補填しなければなりません。また、摩滅するまでに掃除をしたり補修をしたりしてその価値を維持する必要があります。また、補填する場合もいきなり大枚はたいて機械を買うなんて大変ですから、現有固定資本の摩滅とともに、更新のための積み立て(準備金)をつくっておく必要があるわけです。(信用が発達すると、この準備金が銀行へ預けられて、他の資本の一部として機能することにもなりますが、ここではまだ研究の対象となりません)

ところで、<固定資本><流動資本>という概念は、別にマルクスが作り出した概念ではなく、古典派経済学から使われてきました(現在でも時々使われますよね)。ただ、古典派の巨人であるアダム=スミスやデヴィッド=リカードウは、この概念について混乱した把握をしていました。

古典派経済学初期の重農主義経済学者のフランソワ=ケネーは、農業労働のみを生産的労働と把握しましたが(工業労働は「不生産的労働」としていました)、生産階級(農業者)は「耕作の創設の資本」である「原前貸し」(「原前払い」ともいいます)を投じ、毎年の売り上げから回収していました。また、年々の耕作のために「年前貸し」(同様に「年前払い」とも)を投じるわけです。この「原前貸し」「年前貸し」が固定資本、流動資本に相当します。

スミスは生産労働に農業労働だけでなく、工業労働をも包含し、概念を一般化しましたが、理論的には<流通形態にある資本>と<流動資本>とを混同したり、<持ち手を変えるかどうか>という規定を持ち込んだりと混乱し、マルクスは「かえってケネーより後退した」と指摘しています。リカードウもスミスを基本的に継承し、この混乱も引き継いでいます。

………というのが、今日の内容でした。(長っ!!) まぁ、このあたりはマルクスがかなり整理した規定を行ったので、むしろ古典派がどう把握しようとしていたかをつかむのに苦労する以外は、特段、錯綜した印象はないんですけど、以前メモをつくってたとき頭を抱えたのが、ここから先。資本の回転時間についての規定を行ったあとの、資本前貸しの大きさと回転期間との関係などについてあたりが厄介だったなあ。例えば、「資本の遊離」についてのマルクス、エンゲルスの把握について、最近になって疑問が出されたり(不破哲三『「資本論」全3部を読む』④新日本出版社)。その辺をめぐる講座は次回か次々回あたりになるのかな?

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コメント

ちょっと、せ、せ、せ、専門度が高く……。

投稿: osaka | 2005年5月10日 (火) 午前 01時02分

osakaさん、しばらくどす。
許してっ^^。まあ、大体、2巻の、それも途中からの話ですからね。『資本論』全体、あるいは2巻のなかでの位置とか、その前後との脈絡について書き出すと、キリがなくなるし。
すんまへんm(__)m。
以前、「いつか書き直す」と言いながらそのままだった部分、近いうちに本当にちゃんと書きますから、それでご勘弁を。

投稿: かわうそ | 2005年5月10日 (火) 午前 01時18分

手前勝手な投稿ばっかしているブログですのんに、おそれいります。書き込みありがとうございました。

それにしても、『資本論』東京講座、いいですねえ。川上則道センセは、ワタシの通っていた大学の教授であります。講義は直接聴いたことはありませんが、昔むかし、奥さんと子どもさんが、「欽ちゃんの仮装大賞」に出場されたことが、学内でどえらい話題になったことを思い出します。

なんか、今月16日にある講義からいくつかは、まだ講師が決まってないんですかね。「若手講師」って……。なんかほかに紹介のしようがなかったのかしらん。

投稿: Kyawa | 2005年5月10日 (火) 午後 12時25分

Kyawaさん。コメントをいただき、ありがとうございました。

東京学習会議のHPはまともに更新されておらず(紹介する意味なかったかも…)、第2巻講座の日程も、前年度のものです。ちなみに第1篇の講師は石原洋介氏(若いです!)、第2篇は辻岡靖仁氏(労働者教育協会前会長)、第3篇は川上教授です。

川上教授は1月の「ガイダンス」に来ていただきました。以前の著書『計量分析 現代日本の再生産構造』は拝読し(『新・日本経済への提言』でもお名前が紹介されていますね)たのですが、お話は初めてでした。

投稿: かわうそ | 2005年5月10日 (火) 午後 02時59分

あらら……。前年度の5月だったんですね。こりゃまた失礼しました。

投稿: Kyawa | 2005年5月10日 (火) 午後 09時37分

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