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2005年9月24日 (土)

砂上の楼閣(“衆院で3分の2”について)

さて、前回の記事でふれた小泉自民党の「圧勝」なわけですが、果たして「あっ、しょう」(すみませんすみません)というものなのかどうか。得票という点から見てみたいと思います。

今回の総選挙の比例代表で、各党の得票は下記の通りでした。(←の右側は前回2003年総選挙の比例代表得票です)

自民党 25,887,798票(38.2%)←20,660,185票(35.0%) 
民主党 21,036,425票(31.0%)←22,095,636票(37.4%)
公明党  8,987,620票(13.3%)← 8,733,444票(14.8%)
共産党  4,919,187票( 7.3%)← 4,586,172票( 7.8%)
社民党  3,719,522票( 5.5%)← 3,027,390票( 5.1%)
新党日本 1,643,506票( 2.4%)←(前回はナシ)
国民新党 1,183,073票( 1.7%)←(前回はナシ)

こうしてみると、自民党は確かに得票数では5百万票、25%伸ばしているんですが、得票率では3ポイント増ですから、「大躍進」とまではいかない感じです。一方、民主党も1百万票減らしましたが、「ガタ減り」とまではいかないかも…。公明、共産、社民は大体前回と同じぐらいでしょうか。連立与党全体では、得票率は51.5%。まあギリギリ過半数ですね。

比例代表の議席をみると、全体180議席のうち、

自民党  77【+1】(42.7%【43.3%】)
民主党  61    (33.9%)
公明党  23    (12.8%)
共産党   9    ( 5.0%)
社民党   6【-1】( 3.3%【 2.8%】)
国民新党  2    ( 1.1%)
新党日本  1    ( 0.6%)

ブロックごとの定数にも、そこでの各党の得票にもばらつきがありますから、ピッタリというわけにはいきませんが、大体、得票に応じた議席数ですね(【】内は、東京ブロックで自民党の候補者が全員当選したために自民党の分が社民党に配分されたのを“返した”計算結果です)。

でも議席数では周知の通り、ものすごい差が出ました。なぜでしょうか……。それは小選挙区制という“仕掛け”の作用なのです。小選挙区で各党が得票した合計を見ると、以下の通りでした。(公明党は自民党と調整しているので、実態に合うよう合算しました。また、社民党、国民新党、新党日本は立候補した選挙区が少なく、比較しづらいので、ここでは省略しました)

自・公   33,499,493票(49.2%)⇒227議席(75.7%)
民主党  24,804,784票(36.4%)⇒ 52議席(17.3%)
共産党   4,937,371票( 7.3%)⇒  0議席( 0.0%)

つまり、自民・公明は半数の支持も得ていないのに、4分の3の議席を占めたわけです。一方で、民主党は4割近く得票したのに議席は2割弱、共産党にいたっては7%得票したのに0という結果になりました。そう。小選挙区制は、第3党以下の政党は得票がほとんど議席に反映されない「死票」となり、第2党も得票がかなり切り縮められて議席に現れる、という“仕掛け”つきの制度なのです。(ほんとは死票率を計算したいのですが、膨大な計算で頭が大変なことになるので、やめておきます_| ̄|○)。

ここで、仮に、総選挙が全て全国11ブロックの比例代表で行われたと仮定し、先ほど紹介した比例代表の得票にもとづき、各ブロックごとに試算すると、各党の議席は、次のようになります。(各ブロックの定数は、現行の比例代表と小選挙区との合計とします)

自民党  186(38.8%)
民主党  149(31.0%)
公明党   65(13.5%)
共産党   32( 6.7%)
社民党   26( 5.4%)
国民新党   8( 1.7%)
新党日本  11( 2.3%)
新党大地   3( 0.6%)

ご覧の通り、各党の実際の得票動向をかなり正確に反映する結果になります(ブロックごとの試算内訳を知りたい方は、コメントに書いてください)。そしてこれを見れば、小泉与党=自民党と公明党の合計は、議席でも251と、半数をいくらか上回った程度の支持しか得ていないこと、少なくとも「圧勝」といえるものでないことは明瞭です。

つまり、小泉与党が衆院の3分の2を獲得した、というのは、小選挙区という「ゆがんだ鏡」によって“人為的”につくられた“虚構の多数”でしかないのです。たとえ3分の2を獲得したからって、郵政だけでなく増税も負担増も憲法改定も通してしまおう、というのは、絶対に許されないと思いますが、いかがでしょうか?

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コメント

小選挙区制のマジック。よくわかりました
選挙制度の改定当初の議論で死に票が問題にされてはいましたが、細川内閣の出現に惑わされ格なるしだいです。私は一票の格差の是正と立会い演説会の複活をと考えたのですが、小選挙区制に摩り替えられてしまいました。 日本での政治は問題のすり替えが常に行われているのではないか、それを許している詰めの甘さが国民性の特徴ではないかと自虐的に考えざるを得ません。 選挙に敗北した負け惜しみでなく、小選挙区制の怖さを機会あるごとに、口コミしたい。
 小泉政治の欺瞞に一指を報いたい。

投稿: oppey | 2005年10月15日 (土) 午前 10時12分

oppeyさん、初めまして。コメントをいただき、ありがとうございます。
oppeyさんがおっしゃった一票の格差の是正(これはやる気があればかなり簡単にできます)や、立会演説会の復活など国民が政党・候補者の政見にふれる機会の拡大(ネットやビラ規制の解禁・緩和もこれに入ります)は、大事な問題だと思います。
ところが当時、小選挙区制の導入が政治改革であるかのような大宣伝が、メディアを使って行われました。てゆーか、メディアが率先してあおっていましたがね。与党とメディアは、小選挙区制の導入で「政策本位、政党本位の選挙になる」などというのを「うたい文句」としていましたが、選挙を政策本位に行うかどうかは、それぞれの政党・候補者が襟を正すべき話で、選挙制度とは無関係なんですよね。
すり替えをきちんと見抜いていくことが、本当に大事ですね。メディアにもそれを強く求めたいですが、商業メディアの現状は、政権のお先棒を喜んでかついでいるか、一見距離をおいても根っこは同じ、というところだな、と思います。
また、ご意見などお聞かせください。

投稿: かわうそ | 2005年10月15日 (土) 午後 08時35分

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近所の方とお話ししていて、選挙結果にたいする反応に共通していたのが、“とまどい”だった。 なかに、当然ながら、自民党に投票した友人をお持ちの方がいらして、 「実は、その友人(さえ)も、『どうなるんだろうねえ』って言うのよ」 とおっしゃる。 ワタシは、心の中では、 「(そう思うんだったら、入れなきゃいいだろうが)」 と思っていたが、あえて口にしなかった。そしたら、そのおばさんも、同様のことをのたまわったっけ。... [続きを読む]

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