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2006年1月30日 (月)

内橋克人氏、ライブドア事件を語る

「読売」27日付の連続インタビュー企画「ライブドア事件を語る」で、経済評論家の内橋克人氏が登場しました。以前からさまざまな場で、「規制緩和万能」論、「市場原理主義」に対する警告を発し続けてきた内橋氏でしたが、今回のインタビューでも、ライブドア事件の背景に、①アメリカ中心の「グローバル化」②ITと結びついた超巨大マネー③新自由主義――があると、ハッキリ指摘しています。内橋氏は、この潮流の日本における跳梁跋扈ぶりについて、

「市場に任せさえすればうまくいく、という市場競争至上主義が『改革』と称され、多くの国に押し寄せた。これを双手(もろて)をあげて礼賛したのが日本だ」

「(日本は新自由主義に)主体的に対応しようとせず、これにどう『適応』するかだけを考え、むき出しの資本主義への追随だけに血道をあげた」

「とりわけ、90年代の長期停滞のもと、『聖域なき規制撤廃』こそ日本経済再活性化の道と説く学者らが政権の周りに集まった。ライブドアに象徴される奇妙な金銭観、事業観、乗っ取り手法などは、まさにそうした時代の『必然的な申し子』だっといえる」

と、強調。そして、

「単に経営者に高潔な人格を求めるだけでは、『第2、第3のホリエモン』の出現は避けられず、背景にある市場経済の変質ぶりに切り込む必要がある」

とのべ、事件の原因を“ホリエモン個人の手法の異常ぶり”に解消しようとする傾向を、批判しています。さらに、新自由主義の席巻のもとで、

「政府が市場原理に任せ、所得の再分配機能さえ放棄しようとしているため、所得格差は拡大し、中産階級の崩壊が進んでいる」

「規制緩和だけを進め、必要な規制まで悪として退けた結果、不正が見逃された」

ことを指摘。今後の日本が進むべき方向として、「規制緩和」一辺倒ではなく、

「必要な分野については再び規制を強化する『規制の組み替え』をすべきではないか」

「野放図な市場至上のグローバル化だけに追随していては、たどり着く果てに『一人勝ち』社会が待っている」

マネーや市場が主人ではなく人間が主体の社会でなければならない。連帯、参加、協同を原理とする『共生経済』『連帯経済』が今、中南米経済の再生の支柱になっている。一人の成功が他者の犠牲のうえになり立つカット・スロート・コンペティション(のど元をかき切る競争)の価値観を礼賛してはならない」

と提起しています。内橋氏が末尾で例にあげた中南米では、90年代末までのアメリカ型新自由主義経済によって、貧富の格差が拡大し、経済も危機的状況に陥りました。このなかで、これに対する国民の批判が高まり、各国で左翼政権が相次いで誕生し、国民本位の経済建設に向けた流れが広がっています。こうした流れを、日本が今後進むべき方向の一つの例示として、内橋氏があげたことは、ライブドア事件や耐震強度偽装事件などに衝撃を受け、その克服を考える人たちにとって注目すべきことだと思います。(引用文の太字、強調体は、私かわうそによるものです)

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コメント

ありがとうございました。TB。金は必要ですが、浴びるほどほしがる、欲望をコントロールする哲学が、現代日本に、いまのところないのが、残念です。

投稿: くれはやし | 2006年1月30日 (月) 午後 07時21分

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