« 貨幣って何だ(その①)―商品との交換をためらわないことさっ! | トップページ | カウンターをつけてみました »

2006年3月25日 (土)

asahi.com:「『政治的発言、被爆者は自粛を』平和推進協の要請に波紋」

数日前のニュースですが、原爆被爆者の「語り部」活動に長崎市の外郭団体が「政治的発言は自粛を」と求める問題が明らかになりました。

asahi.com:「『政治的発言、被爆者は自粛を』平和推進協の要請に波紋」

 長崎市の外郭団体・長崎平和推進協会(推進協)が証言活動をする被爆者に「政治的発言」の自粛を求め、波紋が広がっている。関係者は「言論の自由の侵害だ」と方針撤回を求めるが、推進協は拒んだままだ。
 1枚の文書が発端だった。タイトルは「より良い『被爆体験講話』を行うために」。推進協が1月20日、継承部会に所属する被爆者29人を集めた総会で手渡した。
 「意見が分かれる政治的問題についての発言は慎んでいただきたい」と記し、具体例として(1)天皇の戦争責任(2)憲法(9条等)の改正(3)イラクへの自衛隊派遣(4)有事法制(5)原子力発電(6)歴史教育・靖国神社(7)環境・人権など他領域の問題(8)一般に不確定な内容の発言(劣化ウラン弾問題など)の順で示している。
 危機感を抱いた被爆者らがつくった「被爆体験の継承を考える市民の会」は今月13日、推進協に方針の撤回を求めた。
 代表の舟越耿一(ふなこえ・こういち)長崎大教授(60)は「原爆は戦争という時代の中で落とされた。いま日本は戦争への準備を始め、核戦争の脅威も迫る。『政治』を抜きに語れない」。8項目を選んだ理由も不透明だと指摘する。
 推進協によると、以前から被爆者の証言について「話が聞きにくい」「主張が偏っている」という声が、学校などから寄せられていた。丸田徹事務局長(60)は「このままでは話を聞いてもらえなくなるし、中立性を保つことが必要だと考えた。文書は撤回しない」と話す。
 推進協は83年、原水爆禁止運動の分裂をきっかけに官民一体の幅広い組織を目指して生まれた。政治的に意見が違っても、核兵器の廃絶と平和の実現という「最大公約数」で団結しよう。今回の要請はその方針の再確認が狙いだったという。
 だが、推進協の設立に深くかかわった前長崎市長の本島等さん(84)は「一つの価値観への忠誠を強いて戦争へと突き進んだかつての道が現れた」と危機感を示す。
 88年12月に市議会で「(昭和)天皇の戦争責任はあると思う」と発言。90年1月、右翼団体のメンバーに市庁舎前で銃撃されて胸に重傷を負った。「民主主義は少数の意見も尊重し、議論を交わせること。社会全体が言論の自由を軽視するようになるのは心細く、寂しい」

しかし、そもそも原爆投下自体が戦争という政治的動きのなかで起こされた事件でした。原爆投下に至った経緯について語ろうと思ったら、背景となった戦争自体の経緯・経過にふれないわけにはいかないでしょうし、となれば、“自粛”項目としてあげられている歴史教育や靖国神社にも立ち入らざるを得ないでしょう。また、戦後についても、被爆者が差別されてきた事実、被爆者への援護を求め長い間、運動を続けてこざるを得なかったことなどは被爆と被爆者の問題を考えるうえで、避けて通れない人権の問題、政治の問題でしょう。

では、アメリカの「核の傘」や、そのアメリカが核兵器を実戦で使用可能な兵器として「改良」をはかっている問題、一方の「核拡散」問題などはどうなのか。これらだって意見が分かれている問題ですが、項目では同じアメリカのイラク戦争とは違って、具体的には列挙されていませんね。では「縛り」を欠けていないのかしら? 意見が大きく分かれている問題であれば、「私見だ」と断ってもらえばすむわけで、そうやって見てみると、要は“自粛”を求めているのは「意見が分かれる問題」というより、「政権批判に直結しそうな問題」という感じがします。果たして、そうやって“自粛”させることが本当に実のある証言活動になるのか、疑問を感じます。

|

« 貨幣って何だ(その①)―商品との交換をためらわないことさっ! | トップページ | カウンターをつけてみました »

コメント

後半部分でかわうそさんが指摘されていることが、今回のニュースに取り上げられた“事件”の本質だと、ワタシも思いました。
とても卑屈な対応だし、いまの世界や日本ですすめられている、核兵器廃絶運動の流れからみても、逆行する傾向だと思っています。

投稿: Kyawa | 2006年3月27日 (月) 午後 10時58分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/73960/9251537

この記事へのトラックバック一覧です: asahi.com:「『政治的発言、被爆者は自粛を』平和推進協の要請に波紋」:

» アンケート結果発表ですッ! [Under the Sun -EQT-]
質問:空母艦載機受け入れの是非を問う、岩国市の住民投票の結果を、国は尊重すべきか? アンケートの結果が出ましたので、お知らせいたします。 皆さん一人々々にお礼をいたしたいところですが、ままなりませんので、この場をお借りしてお礼申し上げます。 クリックしていただいた方、トラックバックしていただいた方、本当にありがとうございました。 結果についてですが、まず《とらばアンケート》の結果から。 全体回答数―26票  1.尊重するべき          23票(88.46%)  2.尊重... [続きを読む]

受信: 2006年3月28日 (火) 午前 12時21分

» 国民の政治に対する発言は自粛すべき? [小泉内閣の支持率が一桁台になるまで]
今回の記事は長いです。3つの記事(法政大学生不当逮捕事件、政治的発言、被爆者は自粛を、NHK番組改変・説明「出向いたことに」 担当者が証言)を引用して、国民の政治に対する発言を考えてみたいと思います。 アッテンボローさんの記事「法政市ヶ谷弾... [続きを読む]

受信: 2006年3月28日 (火) 午前 06時57分

« 貨幣って何だ(その①)―商品との交換をためらわないことさっ! | トップページ | カウンターをつけてみました »