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2006年3月21日 (火)

貨幣って何だ(その①)―商品との交換をためらわないことさっ!

またもや日がたってしまっていますが、12日に東京学習会議『資本論』第1巻講座、第3回に行ってきました。今回は第3章「貨幣または商品流通」です。

欠席した2月の回では、貨幣が商品生産(大まかには市場経済と言ってもいいでしょう)から、「どのようにして、なぜ、何によって」生み出されるかが明らかにされました。一言でいえば、商品としての生産物交換(例えば、a量の綿布がb量の上着と交換される⇒価値の表現という視点から見れば、a量の綿布の価値を、b量の上着で表す)が発達するなかで、ある特定種類の商品(使用価値)が、他の全種類の商品の価値を示すモノサシとなる「一般的等価物」という役割を果たすようになります(『資本論』では「価値鏡」とか「価値分銅」という表現が出てきますが、ある物質の質量を、鉄という特定の物質の一定分量で表現するのと似ています)。「どこが一言じゃ」なんてツッコミは禁止です^^;。

この一般的等価物は、歴史的にはその時々の社会によって米だったり動物だったりしたのですが、やがて貴金属、とくに金や銀に定着していきました。ここで例えば金1㌘相当分に“2000円”という貨幣名表示の基準ができれば、金6㌘相当分の商品価値は1万2千円となるわけです。(商品の物神性や交換過程をめぐる議論の詳細は省略^^!)

日本国内では1897年の「貨幣法」で金750㎎=1円とする金本位制が導入され、通貨として使われる日本銀行券は金との交換を保証されていましたが、今日では、金本位制は廃止され、中央銀行(日本では日本銀行)が貨幣流通量を政策的に決定・管理する「管理通貨制度」となっています。が、銀行券が何であるかを明らかにするためには、銀行信用を明らかにする必要があり、そのためには基礎となる資本主義的生産過程を解明しなければなりません。そのため、この章以下では、金を貨幣として前提して、論を進めていますが、貨幣論は、マルクスの経済学の立場で信用や銀行・金融や、さらには恐慌について考えるうえで一番基礎になる位置を占めています。(それらの話はいつかそのうち)

で、やっとこの日の本論(まあ時間全体の3分の1は以前の回の“復習”だったんですけどね^^)。貨幣には大きく分けて①価値の尺度②流通手段③「貨幣」――という3つの機能があります。①「価値の尺度」というのは、一言でいえば、先ほど金1㌘相当分を2000円とした例をあげたように、商品の価値を表現する材料となるということです。これによって、商品価値は「価格」による表現を得ます(これについては前回のべました)。価格は当初、金の地金の分量ではかられたことから、「ポンド」とか「匁」(これは銀ですが)といった重量による度量単位が定着しました。

やがて地金から鋳貨に代わり、さらに改鋳なども行われるようになるとともに、価格は実際の商品価値から乖離し、また、価値関係からも乖離していきます。そして、本来は労働生産物でない(つまり価値でない←注:経済学の概念としての「価値」であって、日常語や哲学概念などとしての「価値」とは違います)ものまでも、価格を持つようになります。(つい最近も、若いミソラで「全てのものはカネで買える」なんて豪語していた人がいますよね?)

②流通手段というのは、とりあえず読んで字のごとくです(おい^^!)。貨幣の登場によって、市場経済は商品生産物の直接の交換(物々交換)から、貨幣を媒介とした商品流通、つまり「販売と購買」の世界になります。商品所有者Aさんは自分の商品1をBさんという他人に販売して貨幣に替え、その貨幣で自分が消費するための商品2を購買します。で、貨幣はAさんの手からBさんに、さらにCさんに渡って流通過程を旅します(昔、NHK「みんなのうた」で、「1円玉の旅がらす」なんて歌がかかっていましたが、旅がらすなのは1円玉だけでなく、1万円札も同じなのです)。これがからみ合うと下図のようになりますが(Gは貨幣、Wは商品を表し、1や2などは別種の商品を示し、「×」は貨幣と商品とが交換されることを表しています)、実はここで大きな発展とともに、矛盾も明らかになります。

   A氏:W1―G―W2
            ×
      B氏:W2―G―W3
               ×
         C氏:W3―G―W4

その発展というのは、物々交換では市場で相対する当事者の双方で、必要とする商品についての思惑が一致しないと成立しなかったのに対し、貨幣を媒介とした流通によって、この時間的、また空間的な制約が取り払われたということです。しかし同時に「販売」が成功するかどうかは、市場に出してみないと分からない「命がけの飛躍」になってしまいました。さらに、貨幣を媒介とした商品流通では、商品を貨幣に転換したからといって、すぐにこの貨幣を商品に転換する必要はありません。

このように販売と購買が分離しますが、このことは後々に考察される個別の資本(商品生産者)の循環・回転の角度から考えれば、商品の販売で貨幣を獲得できることで、自己の商品が必ずしも消費過程に入らなくても次の商品を生産できることを意味するわけで、商品生産物に対する現実の需要から供給が乖離し、「生産のための生産」の悪循環、そして恐慌におちいっていく可能性を持つようになります。(もちろん、恐慌の必然性を明らかにするためには、まだたくさんの問題を考える必要があるわけで、ここで説明されるのはあくまでも「可能性」です)

それから、一つの社会(例えば一国の一年間)で、どれだけの貨幣が必要とされるかという問題もあります。これは、この社会で取引される商品の価格総額を、この社会で貨幣が商品と交換されて動き回る「回転数」で割ったものになります(これを流通必要量といいます)。これを超えて供給された貨幣は、基本的には流通から脱落して遊休します。現代では信用取引・信用制度が高度に発達していますので、この式もいろいろな修正が必要になりますが、一番の基本となる考え方は、こういうものだということです。

③「貨幣」機能というのは、①②では果たし得ない機能で、「蓄蔵貨幣」「支払手段」「世界貨幣」という機能に区分されますが、すでに相当長くなっていますので、こちらについてはまた今度。

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