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2006年4月11日 (火)

ベネズエラ革命

左翼政権のもとで、労働者や農民、低所得者らに目を向けた政治を進めている南米・ベネズエラから、革命勢力の代表団が来日しているとのことで、10日に都内で開かれたその「歓迎のつどい」という集会に行って、話を聞いてきました。「東京都アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会」という団体が主催した集会です。

ベネズエラ革命については、新聞や本などで若干読んだことがあり、チャベス政権の成立後、アメリカやそれと連携した財界・大マスメディアなどによる政権攻撃と激しいたたかいを繰り広げ、それを一つひとつ打ち破りながら国づくりをしている……といったことは知っていますが、その真っ只中で活動している当事者の話を聞くというのは、そうそう滅多にあるものではないので、行ってみたわけです。

来日して話をしたのは、フェリーペ・フィゲロア、ジョニ・ニーニョの両氏。どちらも政権与党の一角を占めるベネズエラ共産党の中央委員で、フィゲロア氏は電気技師の労組の書記長を、ニーニョ氏は30年以上中学校の教師を務め、全国中学校教組の幹部を歴任したそうです。

ニーニョ氏が話したのは、ベネズエラ革命の歴史的な背景についてでした。アメリカがラテンアメリカで進めていた新自由主義政策の押しつけに対抗して、国の生産力や石油資源の収益を社会的格差の是正に使っているとしたうえで、さらにこの方向をもっと進めるためには「ただ一つの解決方法しかない」として、「社会主義の建設に向かって踏み出した」と紹介していました。

フィゲロア氏の話は、ベネズエラ革命の現状がテーマで、6年間の革命の具体的な成果をいろいろと紹介していました。このなかで、大変大きく広がっていた貧富の格差を抜本的に是正する政策を進め、とくに教育と医療面での改革に相当の力を入れていると強調していました。教育では、子どもたちの教育を無償化し、高等教育まで含めた教育機関を全国に整備した(通訳の方は「大学を市町村に作る」と訳していましたが、高校ではないのかしら? 少しピンときません)だけでなく、かつて貧困のため教育を受けずに働かざるを得なかった親たちも教育を受けられる仕組みを作ったそうです。

医療面でも治療に必要な医薬品が基本的に無償化されているだけでなく、キューバと連携して視覚障害者(視力が低下した国民ということでしょうか?)に手術を行い、視力を回復させているとのことでした。

また、「『国民が主人公』の参加型民主主義」を憲法で定めているとして、それを「代議制民主主義に対する対案モデルを提示した」ものだと位置づけていました。というのは、「代議制民主主義が社会的格差の進展を許してきた不十分さを持つから」だそうです。具体的には、「社会諸計画」の策定や実行に向け、「地域住民共同体を社会的、政治的、経済的に組織して、国民の権力を作り上げ」て進めていることなどがあるそうです。ベネズエラでは大統領との直接対話を国営テレビなどで放映しているようですが、他には国民投票を常設化するということなのでしょうか。この「参加型民主主義」と国会などの代議制機関がどう補完しあって、あるいは関連付けられて、改革を進めているのか、両者の関係についてはよく分かりませんでした。

時間の関係で、参加者の質疑応答は、あまり時間が取れなかったのですが(しかも最後に質問したおじさんが質問の前に自分の意見を長々と述べたもんだから、後ろから不満の声があがっていました)、ある女性の方が「男女平等はどう進めているのか」と質問したのに対し、ニーニョ氏が「全国女性庁」という官庁や「女性開発銀行」という機関をつくり、男女平等に向けて施策を専門的に検討していること、女性起業家には低利融資を実施していることを紹介すると、会場からどよめきが起こっていました。

まあ、なかなか面白い話でした。ベネズエラが今後、社会主義への道をどのように歩んでいくのか、アメリカや財界勢力の抵抗も相当続くでしょうから、予断を持って言うことはとてもできませんが、なかなか面白い前途があり、理論的に検討を深めていく必要がある問題も、いくつもありそうだし、日本での社会改革を進めるうえでも、いくつかは参考になる点もあるかもしれないなあ、と感じながら帰ってきました。

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コメント

TBより飛んで参りました。
貴重なお話をありがとうございます。
私も近年の中南米の新時代を感じる動きには注目しています。かわうそさんがおっしゃるように、アメリカや財界勢力の抵抗の中でのそれなので、並大抵ではないでしょうが、がんばってほしいですね。

投稿: grevo | 2006年4月11日 (火) 午前 06時45分

TBありがとうございます。
東京では質疑応答があったのですね。わたしは通訳の問題で拒否されたのだとばかり思っていました。
参加型民主主義の実態については私も良く分からないで、「ベネズエラ革命」を買ったのですが、まだ読めていません。
ただ、拾い読みしたところ、この大統領、いわゆるレーニンみたいな理論派ではないということは確かです。

投稿: KUMA0504 | 2006年4月11日 (火) 午前 09時21分

grevoさん、KUMA0504さん、お返しのTB&コメントをありがとうございました。m(__)m
ベネズエラでは、「北米自由貿易圏」を通じた新自由主義に対抗して、ラテンアメリカの経済的統合を提唱しているそうですね。これも相当激しい抵抗を呼ぶでしょうが、頑張ってほしいものですね。

「参加型民主主義」というのは、私ももう少し掘り下げて知ってみたいです。

チャベス氏は、緻密な理論家というよりは、演説家というタイプだそうですね(よく知りませんが)。レーニンは「戦時共産主義」の混迷を脱却して「ネップ」に向かうなかで、大局を見通せる「経済の管制高地を握る」ことが大事だと強調しましたが、チャベス氏の演説も、多くの人の心をギュッとつかむ「管制高地」を見通す迫力、魅力が詰まっているのでしょうか?

先進資本主義国の日本では、財界自体が高度に組織化され、支配構造も網の目のようになっていますから、これを打ち破っていくのは、本当に大変だと思います。

投稿: かわうそ | 2006年4月11日 (火) 午後 08時33分

ご存知かもしれませんが、中南米関係の記事の翻訳ブログに、
「Emerging Revolution in the South」http://agrotous.seesaa.net/
というのがあり、私もちょくちょくのぞいています。

投稿: grevo | 2006年4月12日 (水) 午前 12時16分

希望のある話でいいですね。

投稿: ばぶ | 2006年4月14日 (金) 午前 12時24分

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