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2006年4月16日 (日)

憲法を語るために憲法を学ぶ運動

労働組合や市民団体でつくる「憲法改悪に反対する東京共同センター」という団体が改憲反対運動の学習交流集会を開くと聞いたので、今日、参加してきました。自民党憲法調査会は12日に、憲法改定手続きの国民投票法案についての素案をまとめ、このなかで「メディア規制」をいちおう削除しました。これを公明党と調整したうえ、民主党なども抱き込もうとしているのが気になっていたものですから。

集会では、有事法制に関する著書・発言で知られる「自由法曹団」の田中隆弁護士が「改憲策動と国民投票法案」について講演されました。国民投票法案について、改憲派は「単なる手続き法だ」とか「憲法に国民投票の規定があるのに、法律が今までなかったという憲法の不備を補うものだ」などと主張しているわけですが、いわゆる護憲派のなかにも「民主的な国民投票法ならよいのではないか」とする人たちがいます。田中先生はまず、国民投票法案自体について、「改憲派が明文改憲を実行するために要求しているもので、国民が要求したものではない。そもそも、目的のない手続法はない」と指摘されました。そのうえで、護憲派のなかにもある“民主的な国民投票なら~”という思いについても、「改憲の国民投票は、米軍基地や原発、合併などの住民要求や権利を実現するための住民投票とは、似て非なるもので、国会の多数で決めた案について投票する“上からの改革”だ」と、釘を刺されました。

国民投票法案自体の問題点については、メディアに対するロコツな規制は削除したものの、「表現の自由を乱用し国民投票の公正を害することのないよう、……自主的な取り組みに努めるものとする」として、“自主規制”として残っていることを指摘され、「マスコミの現状を考えれば、自主規制する危険が強く、規制の本質は変わっていない」と警鐘を鳴らされました。

田中先生はまた、自民党が昨年11月にまとめた「新憲法草案」について、天皇の元首化など憲法の“全面改定”を狙った2004年の「たたき台」と対比して、「新草案」が憲法「改正」を通しやすくするために、「改正」対象を戦力不保持と交戦権否認をうたう9条と、改正手続きを規定した96条にしぼったものだと指摘されました。とくに9条では、9条2項(戦力不保持と交戦権の否認)があったために、自衛隊が海外に出ても、「戦力でない」ことを建前とする以上、武力行使に踏み出せなかったことを強調し、「日本の平和を守る核となってきたのは、9条2項だ。これを変えるのは、海外で米軍とともに積極行動ができるようにするためだ」と力説されました。

また、96条の改定は、憲法改正発議のハードルを下げることで、今後、憲法を「改正」しやすくする、いいかえれば、前回の「たたき台」で盛り込んだ内容は、今回の「改正」が通った次の課題にするということだと指摘されました。合わせて、「新草案」が「個人情報の保護」や「国の環境保全の責務」を盛り込んだことについては、9条、96条の改定をごまかすためのものだと一蹴されました。

この集会で、行政区や職場、大学など都内各地で運動をされている方々が、それぞれの活動を報告されていましたが、多くの方から「憲法を守るためにも、自分自身が憲法をよく勉強する必要性を感じている」と発言されていたことが強く印象に残りました。学校の先生だったと思いますが、憲法の学習会でご自身が講師を務めるハメになってしまい、改めて憲法の全文と自民党の「新草案」を読み比べてみたとおっしゃっていました。また、下町の地域で運動している方は、毎月定例の学習会で、憲法の条文を一条ずつ取り上げて議論を重ね、「やっと半ばまできた」と紹介しておられました。憲法改悪の問題は、目の前で動いている大変な問題ではありますが、だからこそ少しずつでも、こつこつとでも、憲法の勉強を重ねていくことが、憲法を守る発言をし、行動していくうえで、いっそう大切になるのですね。

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