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2006年5月18日 (木)

「愛国心」の指導だって?

教育基本法の前文に「国を愛する心」を書き込むなどを内容とした改定案の審議が、ついに始まりました。

asahi.com:「『愛国心指導は職務』教育基本法改正案巡り首相」

 小泉首相は16日、教育基本法改正案をめぐる衆院本会議の質疑で、「愛国心」をめぐる規定について「教員は法令に基づく職務上の責務として児童生徒に対する指導を行っているもので、思想、良心の自由の侵害になるものではない」と述べ、職務として「愛国心」の指導を行うべきだという考えを示した。保坂展人氏(社民)らの質問に答えた。
 「愛国心」規定については、教育現場での強制や評価につながるとの批判があるが、首相の発言は教職員が「良心の自由の侵害」を理由に愛国心の指導を拒むことができないとの認識を示したものだ。一方で、首相は児童生徒については「これまでも児童生徒の内心の自由にかかわって評価することを求めておらず、このことは本法案により変わるものではない」とも語った。
 児童生徒が学習する内容を定めた文部科学省の学習指導要領(道徳)では「国を愛する心を持つ」という記述が盛り込まれている。首相は答弁の中で「これまでも学校教育において実際に指導が行われているが、その重要性から今回、法案に明記するものだ」と説明した。法制化されることにより、教職員の指導に対する強制の動きがより広がる可能性がある。

しかし、「愛国心」って何なんでしょうか。

例えば私の場合、この国の温暖な気候とか、緑が多いところなどは大好きです。それから、その緑や水を育む環境が、必要性も明らかでない高速道路の建設のために破壊されたり、超高層ビルを海岸に林立させて、都心への海風の流入をふさいでヒートアイランド現象を引き起こしたりするのは、本当に我慢なりません。あと、自分たちが生活している頭の上を外国の軍用機がモノスゴイ音を立てて、ひっきりなしに飛び交ったり、外国の軍事基地の移転や再編で3兆円も負担させられたり、ましてや自分の国の若い人たちが海外に出ていって、戦争するなんて、たまりません。(自称「愛国者」の人たちは、こういう問題に怒らないのでしょうか………)

では、そうしたものを学校教育で教える………、ということなのでしょうか? まあ、十中八九、いや、九分九厘、しないだろうけども。でも、もし教えるとしても、別にあえて法律に書き込まなければならない必然性はないと思うんです。では、誰が、どのように「愛国心」というものの内容を決め、そして評価するのでしょうか? それに、「愛国心」って、どうやって教えるんでしょうか。

それから、上の記事によると、小泉首相は教員について「教員は法令に基づく職務上の責務として児童生徒に対する指導を行っているもので、思想、良心の自由の侵害になるものではない」とした一方で、児童・生徒については、「これまでも児童生徒の内心の自由にかかわって評価することを求めておらず、このことは本法案により変わるものではない」と答えたそうです。

この言い回し、どっかで聞いた記憶がありますよね。

「日の丸・君が代」が法制化された時、当時の小渕首相(もう亡くなりましたが)は「日の丸・君が代」の強制はしないと答えていました。ところが、実際には全国各地の学校で強制が行われています。とくに東京都では、卒業式や入学式などで、教職員が起立しなかった場合、懲戒処分の対象とし(それについて書いた拙記事です)、児童・生徒の多くが起立・斉唱しなかった場合は、教師の“指導責任”を問題視しています。

また、東京の町田市や福岡県久留米市では、これらの行事で児童・生徒が声を出して「君が代」を歌ったかどうか、声量まで指導していました。「内心の自由を侵害しない」といっても、内心は誰にも見ることはできませんが、内心は態度・行為に現れます。江戸時代にキリスト教信者に「踏み絵」を踏ませて選別したように、「起立・斉唱」で、さらには声量まで測定して「指導」するとでもいうのでしょうか?

「愛国心」も、誰がどう決め、評価するのでしょうか。福岡市は2002年、小学校6年生の通知表の評価項目に、「国を愛する心」を盛り込み、3段階で評価するとしました。福岡県弁護士会はこれに対して、“愛国心という内心の問題を成績評価を通じて強制することは人権侵害のおそれが強い”として警告を出しました

「日の丸・君が代」が強制されていることを振り返れば、教育基本法の改定で、こうした福岡市のようなことが全国的に行われる危険性が非常に高いと思うのです。教育基本法は“憲法に準ずる法律”といわれています。その法律に「愛国心」などの規定を盛り込むことには、私は反対です。

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