経済同友会が首相の靖国参拝の再考を求め提言
財界団体の1つ、経済同友会が9日、靖国神社参拝を再考するよう小泉首相に求める「提言」を発表しました。(経済同友会の提言そのものはこちらです)
asahi.com:「『首相の靖国参拝再考を』経済同友会が提言」
経済同友会は9日、小泉首相の靖国神社参拝に再考を促すことなどを盛り込んだ「今後の日中関係への提言」を発表した。経済団体が政策提言として、首相の靖国参拝に異議を唱えるのは異例だ。民間人を含む戦争犠牲者すべてを慰霊する無宗教の国立追悼碑の建立も提案。福田康夫氏が官房長官時代につくった私的諮問機関が提言した国立追悼施設構想が下敷きになっているという。9月の自民党総裁選にも影響を与える可能性がある。
提言は、日中の首脳会談が開けない現状を「極めて憂慮すべき情勢」との認識を示し、「中国等アジア諸国に少しでも疑義を抱かせる言動を取ることは、戦後の日本の否定につながりかねず、日本の国益にとってもプラスにならないことを自戒すべきだ」とした。
そのうえで、小泉首相の靖国参拝が、首脳レベルでの交流再開の障害となっていると指摘。「『不戦の誓い』をする場として、政教分離の問題を含めて、靖国神社が適切か否か、日本国民の間にもコンセンサスは得られていないものと思われ、総理の靖国参拝の再考が求められる」と明記した。
北城恪太郎代表幹事(日本IBM会長)は会見で「参拝は日本が自主的に判断する問題で、日本独自の見解として、参拝を控えた方がいいということで提言した。日中両国の国民が対立的な感情を持つことは安全保障の観点でも好ましくなく、経済の安定的な発展もない」と述べた。
で、小泉首相はどう応えたか。西日本新聞によると(共同通信の配信でしょうか?)、「商売と政治とは別だ」といって、提言を拒否したとのことです。
小泉純一郎首相は9日夜、首相の靖国神社参拝に再考を求めた経済同友会の提言に対し「財界の人から商売のことを考え(参拝に)行ってくれるなとの声もたくさんあるが、それと政治は別だとはっきりお断りしている」と拒否し、今年も参拝する意向を示唆した。官邸で記者団の質問に答えた。
終戦記念日の8月15日に参拝するかどうかは「適切に判断する」と述べるにとどめた。経済同友会の提言を「一つの意見なんでしょう。靖国は外交カードにならない」とも指摘した。
提言は「日中両国政府へのメッセージ」ですから、当然、中国政府に対しても“注文”をつけています。が、ここは小泉首相を支えてきた主要な財界団体の1つからも首相の基本的姿勢に対して発言したということに注目したいと思います。とくに、靖国参拝問題は、提言も、
「わが国が国際社会の中で占めている重要な地位と担っている責任に鑑み、自らの問題として主体的かつ積極的に解決すべきことである」
つまり、別に“外国から言われるからやめろというのか”と反発する前に、日本自身の問題としてとらえ解決する問題ではないのか、と提起しています。
小泉首相の靖国参拝については、このサイトでも何度か書いてきましたが(例えばここ)、靖国神社は「戦没者」を「追悼」したり、「哀悼の意」を表したりする場ではなく、顕彰(「広辞苑」によると「功績などを世間に知らせ、表彰すること」などとあります)する場です。
そして、首相も国会で「靖国神社の考え方は政府と同じではない」「戦争責任は日本にある」と明言しているのですから、ここはやはり、現在の政府の代表者である以上、参拝をやめるべきなのではないでしょうか。
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