« 公開講座「『資本論』とはどんな書物か」に参加しました | トップページ | ココログがメンテナンス »

2007年1月10日 (水)

『週刊東洋経済』が「雇用破壊」で大特集!

H20070113 『週刊 東洋経済』1月13日号が特集「雇用破壊 もう安住の職場はどこにもない!」を組んでいます。記事の題名を見ると、

「正社員を襲う『ホワイトカラー・エグゼンプション』の衝撃 無給長時間残業への道」
「『正社員にはさせない!?』 大企業側の反撃」
「『個人請負』という名の悲惨」

などなど、衝撃的な言葉が並んでいます。

特集の冒頭に掲げた記事では、日本の雇用者5407万人のうち、請負や派遣、アルバイト・パートなど非正規雇用が1633万人と、全体の30%に達していることをあげ、「これは単純な結果ではない。12年前の財界の提言どおりに、雇用情勢は変容を遂げてきた」と、1995年の日経連(経団連と統合して日本経団連に)報告を源流にして進んできたことを指摘しました。

また、総務省の「労働力調査」によれば、20代後半から40代前半の4人に1人が過労死認定の目安とされる月80時間の残業をこなしていることを示して、

低収入で不安定な立場の非正社員。片や過労死に至ってもおかしくない水準で働き続けても、相応には報われない正社員。これが、過去10年余りにわたる財界の雇用改革が生み出した日本人の姿である。

それでも、財界が目指す雇用改革の最終形には、まだ至っていない。

と告発しています。

とくに、「ホワイトカラー・エグゼンプション」導入を盛り込んだ年末の厚労省労政審議会答申を受けて、今月末から始まる通常国会で、

派遣労働者を「非正規」の身分に、より協力に固定するのとともに、ホワイトカラーの立場にいる正社員に、従来以上の労働負担を強いる可能性があることを意味する。

正社員、非正社員という枠を飛び越え、安心して働ける職場はもうどこにもなくなる――。そんな日が、現実にもうそこまで迫っている。

と警鐘を鳴らしています。

もう1つ、特集で興味深いのは、「改革は何をもたらすのか」と題して、労政審議会の委員を務めた奥谷禮子(ザ・アール社長、経済同友会幹事)、長谷川裕子(連合総合労働局長)、荒木尚志(東大教授)の3氏のインタビューを載せていることです。

このなかですごいのは、奥谷氏の発言で、

下流社会だの何だの、言葉遊びですよ。そう言って甘やかすのはいかがなものか、ということです。

さらなる長時間労働、過労死を招くという反発がありますが、だいたい経営者は、過労死するまで働けなんて言いませんからね。過労死を含めて、これは自己管理だと私は思います。

たとえば、祝日もいっさいなくすべきです。24時間365日を自主的に判断して、まとめて働いたらまとめて休むというように、個別に決めていく社会に変わっていくべきだと思いますよ。同様に労働基準監督署も不要です。個別企業の労使が契約で決めていけばいいこと。「残業が多すぎる。不当だ」と思えば、労働者が訴えれば民法で済むことじゃないですか。

だから、何でこんなくだらないことをいちいち議論しなければいけないのかと思っているわけです。

と、開いた口がふさがらないほどの発言ぶりです。「過労死するまで働け」なんて、そりゃ口にはしませんわね。そんな発言、した時点で経営者のクビが飛ぶほどの大問題ですし。でも明言しなくても、何十時間も残業しないとこなせないノルマを課したり、あるいは「成果主義賃金」などで際限ない競争をあおり立てたりすれば、同じことでしょう。過労死をめぐる訴訟ではこれまでに、企業の責任を問う判決が何件も出ました。企業のトップ、いや財界の幹部として、こうした司法の判断を受けとめようとしないのでしょうか。マルクスは『資本論』第1巻の第8章「労働日」で、

資本は、剰余労働を求めるその無制限な盲目的衝動、その人狼的渇望のなかで、労働日の精神的な最大限度のみではなく、その純粋に肉体的な最大限度をも突破していく。

と指摘しましたが、ここまでアケスケに「人狼的渇望」を体現する発言は、なかなかお目にかかれないのではないでしょうか。

一方、別のページには自民党の川崎二郎・前厚労相のインタビューも載せているのですが、川崎氏は、

小泉政権時代からの政府の方針は、正規雇用を増やしていくことだった。ところがこの労働ビッグバンは、非正規雇用を拡大しろということらしい。われわれが掲げてきた方向とは逆だ。

と発言しています。2003年に労働者派遣を製造業に解禁したのが他ならぬ小泉前政権だったことをはじめ、派遣・請負労働への規制を大幅に緩和してきたのは、自民党政権だったことには沈黙しているわけですが、非正規雇用の拡大など「労働ビッグバン」にいちおう批判的な言辞を示しています。先ほどの奥谷氏の発言と比べると、川崎氏の方がはるかに“良心的”に見えてしまう(笑)ほどです。

漫画『デトロイト・メタルシティ』(若杉公徳、白泉社)の「クラウザーⅡ世」風にいうと、「ROUDOUせよ! ROUDOUせよ!」「今日は兄さん雇い止め! 明日は父さんカローシだ!」って感じでしょうか。

さて、会社員のみなさん。労働組合に入っている方も、入っていない方も、このまま黙っていて、本当にいいのでしょうか?

|

« 公開講座「『資本論』とはどんな書物か」に参加しました | トップページ | ココログがメンテナンス »

コメント

う、うまし!
激しく笑ってしまったにょ。

労働問題でろくでもない発言をしている連中には、クラウザーさんに「一秒間に10回総括」してもらうしかありません。

それにしてもはまってますねえ。

投稿: kiddy | 2007年1月12日 (金) 午前 03時15分

許せません!

>過労死を含めて、これは自己管理だと私は思います。
たとえば、祝日もいっさいなくすべきです。24時間365日を自主的に判断して、まとめて働いたらまとめて休むというように、個別に決めていく社会に変わっていくべきだと思いますよ

このような無防備な発言を徹底的にたたくべきです。
誰が好き好んで「過労死」するまで働くか!
おまえらがやらせているのだ。
子供の頃から巧妙に人を追い込む「いじめ」技術を培ってきた中間管理職とともに、「見てみぬふりをする」伝統的な技も駆使して、おまえらがやらせているのだ。

うー、頭にくる!!!!!

投稿: この奥谷氏の発言は | 2007年1月12日 (金) 午後 10時49分

 それでは私もDMCネタを一つ(笑)。

 アベ「W」
 ミタライ「C」
 オクタニ「E」

 国民「うおお あれは適用した労働者すべてが呪われる『W・C・E』地獄の人文字だあ~」

 ※W・C・E=ホワイト・カラー・エグゼンプション

投稿: コングロマリット橿渕 | 2007年1月12日 (金) 午後 11時51分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/73960/13441353

この記事へのトラックバック一覧です: 『週刊東洋経済』が「雇用破壊」で大特集!:

» マグロ消費と環境(下−2) [関係性]
    (副題:真円真珠発明100年)  「細る浜 老いる漁村」(朝日新聞06年11月20日付け朝刊)で、三重県の五ヶ所湾の現状をアップしている。  「渚、砂浜は、人間で言えば肺。海の肺ですわ」「渚に波が打ち寄せては返す。それが海の浄化作用になる」と、川口祐二さん(三重県南伊勢町)はいう。  五ヶ所湾は御木本幸吉が財を成す礎であり、大正から昭和初期にかけて御木本養殖場は最盛期を迎えた。そして戦後、ここでの真珠養殖業は漁民に解放され、タイやハマチの養殖業の開発へと進んだ。  そして現在、二つの町が合... [続きを読む]

受信: 2007年1月13日 (土) 午後 06時13分

» ホワイトカラーエグゼンプションの本来の趣旨 [もじもじスケッチ]
正月ボケから少しだけ立ち直ってきました。 きょうはホワイトカラー エグゼンプショ [続きを読む]

受信: 2007年1月14日 (日) 午前 03時50分

« 公開講座「『資本論』とはどんな書物か」に参加しました | トップページ | ココログがメンテナンス »