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2007年2月 6日 (火)

ヘリウム3採掘めざし月探査という漫画のような現実の話へ?

月のヘリウム3かあ。宇宙資源の採掘なんてのは、昔は、いやつい最近までSF世界の話でしたが、現実世界の話になりつつあるんですかねえ。

NIKKEI NET(共同通信):「中国、月探査を本格化へ 4月に周回衛星打ち上げ」

 【ニューヨーク=共同】米誌ニューズウィークは5日発売の最新号で、中国が4月17日に無人の月周回衛星打ち上げを計画、これを足掛かりに月探査計画を本格化させると報じた。最終的には人間を月面に送り込み、将来のエネルギー源と期待される核融合発電の燃料となるヘリウム3の採掘を目指すとしている。
 中国の宇宙開発については、1月に実施した人工衛星破壊実験の目的がはっきりしないため、宇宙の軍事利用に対する懸念も高まっている。

私の好きなSF漫画『プラネテス』(幸村誠=講談社、詳しくは本サイト左下をご覧ください^^)でも、月面のヘリウム3やイルメナイト(チタン鉄鉱とも呼ばれ、チタンと鉄、酸素の化合物です)など月面で採掘される資源が社会の重要な“動力源”となっていることが、物語の背景として描かれていますが、そんな時代が意外に近づきつつあることに驚きました。

t宇宙開発をめぐっては、最近、私の小学生時代に“次世代の輸送手段”との鳴り物入りで登場したスペースシャトルが、事故が相次いだことで、再びかつてのようなロケット(オリオン)による輸送に回帰しようとしているなんて話題がありました。

さらに、つい先月には、上の記事にも出ているように、中国が人工衛星破壊実験を行い、数百個の「スペースデブリ」(宇宙ゴミ)を生じさせたニュースがあり、宇宙開発の関係国から危惧の声があがりました。

ネット上でも「ケスラー・シンドロームが遠からずうちに起きるのか?」なんて騒ぐ声も出ていますし、いずれデブリ回収業者が活躍する時代なんてのが来るのかもしれません。(ケスラー・シンドロームというのは、発生した宇宙ゴミが別の人工衛星や宇宙ゴミに衝突して、さらに多くの宇宙ゴミを生じさせ、その連鎖反応によって、やがて地球圏が宇宙ゴミに覆われて、宇宙開発ができなくなるという事態で、NASAのケスラー博士が警鐘を鳴らしたので、こう呼ばれています)

こうした事件なんて、『プラネテス』の世界そのままですからね。

使い捨てられた人工衛星、シャトルが切り離したタンク、ステーション建造時に出た廃棄物……、宇宙に浮かんだたくさんのゴミ、「スペース・デブリ」は、実はとても危険な存在です。

なんていうTV版冒頭のナレーションが頭に浮かんできます。

さて、宇宙ゴミは、かつてはアメリカや旧ソ連が軍事上の実験で大量にばら撒いた時代もあったそうで、今回のような事件は、宇宙に進出を試みる国が増えることが見込まれるなかで、また起きないとも限りません。このような事態にどう対処していくかは、今後、宇宙空間を人類がどう利用していくか、学術上からも、資源の確保上からも、大変大事な問題でしょう。

ネット上の一部では、民族的偏見もあいまって、とにかく罵声をあげているだけの、一見「強硬」で実は無内容な主張も散見されますが、こうした問題を再発させないためには、当事者も認めざるを得ない“道理”に拠って、国際的な合意を形成していくことで解決をはかっていくしかないと思います。

その点では、地球上での国際紛争の解決に、国際法を活用しているのと同様、すでに国際宇宙法が形成されており、これらに依拠して解決をはかるのが当然の道すじでしょう。例えば、1967年に発効した「宇宙条約」では、宇宙空間の領有の禁止や、核兵器を含む大量破壊兵器を地球周回軌道に載せないこと、宇宙に打ち上げた物体が他国に損害を与えた場合、打ち上げ国が責任を負うことを規定しています。また、1972年発効の「宇宙損害責任条約」では、打ち上げた物体による他国への損害の賠償について、具体化しているわけです。

これらの条約に対して、主要な国々はどういう態度を取っているでしょうか? 中国はどちらの条約にも加入していますし、ロシアとアメリカは両方を批准しています。また、欧州宇宙機関も両方の条約を受諾することを表明しています(ちなみに、日本は宇宙条約を批准、損害責任条約に加入しています)。つまり、実際に重大な損害を与える事態が起きた場合、こうした条約にもとづいて、相手国の責任を追及できるわけですし、その事態を引き起こした国もこれらの条約に批准・加入している以上、少なくとも「そんなもの、オレは知らないよ」とソッポを向くことはできないのです。

もちろん、だからといって賠償交渉が平穏円滑に進むと保障されているわけでは全くないのですが、国際的な交渉の足がかりには十分になるわけですし、今後、宇宙開発が進展していくにつれて、こうしたデブリ問題や宇宙資源の配分のあり方をはじめ、宇宙法にもとづく国際的な秩序をさらに強化していくことは必要でしょう。その点では、地方紙「河北新報」5日付の社説が「衛星破壊実験/宇宙条約の強化が必要だ」と主張していますが、これも大事な問題提起だと思います。

 宇宙空間の平和利用は、1967年に発効し約100カ国が批准する宇宙条約で原則を定めている。70―80年代には、米とソ連(ロシア)が衛星攻撃兵器の開発・実験を実施した。現在は、自衛権の範囲内なら軍事利用を認める解釈が定着し、平和利用と区別しにくい。
 今や軍事衛星はミサイルの早期警戒システムなど国家の安全保障に深くかかわる。民生衛星は気象観測や携帯電話利用など市民生活に欠かせない。衛星破壊の影響は計り知れないが、宇宙条約で禁止するのは大量破壊兵器の周回と配置のみだ。
 国際社会は宇宙利用の在り方をあらためて議論し、宇宙条約の強化を図るときだろう。衛星攻撃の禁止など具体策を明文化し、宇宙軍拡にはっきり歯止めをかける必要がある。
 軍縮会議が近年、拘束力のある決定を何もできずにいるのは、米の姿勢にもよるだろう。「宇宙空間での行動の自由は米国にとって制空権、制海権と同様に重要」だとして、宇宙兵器の開発、配備も辞さない方針だ。これでは、多国間交渉の進展は望めない。

21世紀の前半には、宇宙空間の探査や利用が大きく進むでしょう。そういう時代にこそ、国際的な問題は冷静な解決をはかるようになっていってほしいし、そういう世界をつくっていきたいものです。

あ、『プラネテス』はオススメです。幸村氏は旧NASDAのインタビューで、宇宙時代になっても縁側でスイカを食べていたいと話していましたが、そんなお話ですから、SFが不得手な人でも読めると思います(多分)ので、よかったらご一読を^^。

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