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2007年4月 6日 (金)

東京都知事選で辛淑玉さんが発言

エッセイスト(+会社経営その他もろもろ…)の辛淑玉(シン・スゴ)さんが、「新社会党」の機関紙『週刊 新社会』3月27日号で連載しているコラム「たんこぶ」(“目の上のタンコブ”をめざすとでもいう意味なんでしょうか……?)で、東京都知事選をめぐってこんな発言をしておられます。

「これでいいのだろうか…」(『週刊 新社会』3月27日号)

辛さんは、吉田万三、黒川紀章、浅野史郎3氏についてそれぞれ、

吉田万三:「今回の候補者の中で私が一番共感しているのは吉田万三さんだ。彼が足立区長だったとき、母はその施策に喜び、ここで暮らしていて良かったと何度も語った。弱者に寄り添うことのできる人だと思った」
黒川紀章:「テレビのトーク番組で一緒になったことがある。石原都知事と蜜月関係にあると言われ、日本会議のメンバーでもあるが、彼とは多くのことで意見が一致していた。私は、ある種の好感を持って見ていた」
浅野史郎:「在日の問題などに関して関心が高いとは言えない。私からすればその距離は遠い。しかし、いま私は、浅野さんで都知事選に勝とうという動きの中に身をおいている」

とコメントしたあと、こんなことをのべています。

 周囲の人に、「どうして、吉田さんが出馬表明をしたとき、みんなで応援するというスタンスが取れなかったのか」と素朴な質問をしてみた。
 理由は二つ。まず、共産党だから。しかし、都議会の共産党は本当に石原都政の中で頑張りぬいたことを私は知っている。もう一つは、吉田さんでは勝てないからだという。
 吉田さんで勝とうと団結することは難しいことだったのだろうか。
 私にはわからない。
 そんな中、共産党の機関紙『赤旗』で浅野批判が始まったという。浅野支持者の不満は高まるばかりだ。

浅野氏を応援するなかに「身をおいている」としながら、そのなかで「吉田の応援ではだめなのか」と聞くあたり、辛さんらしさ(?)が出ていますが、「吉田さんで勝とうと団結することは難しいことだったのだろうか」という指摘は大変大事だと思います。

都知事選を前にして、良心的な発言をしている方々の間でも、「共産党と吉田氏は立候補をやめ、浅野氏に乗るべきだ」とする発言が少なからずあがりました。極端なものになると、ごていねいにバナーまでつくって、共産党を“敵を利する”とか「セクト主義」だとかと非難しているものすらも見受けられます。

しかし、私はこの種の批判には、2つの点で道理がないものだと思っています。

1つめは、辛さんものべていますが、共産党は都議会で、自民党、民主党、公明党が石原都知事のいいなりだったころから、一貫して、石原知事の数々の暴言や施政を批判してきたことです。

これに対して、民主党がこのような役割を全く果たしていなかったこと、実態は石原与党であったことは、これまでにも何度か書いてきた通りです。マスコミも、東京都のHPに掲載されている石原知事の定例記者会見を見ると、オツイショの質問が大部分で、その馬鹿馬鹿しさには、見るのも読むのも辟易するほどです。

去年の秋になって、石原知事の公費を使った豪華な海外出張や飲み食い、4男の重用などが、マスコミで大きな批判を浴び、石原知事自身も「反省」を口にせざるを得なくなりましたが、この矢を最初に放ったのは、共産党都議団でした。「日刊スポーツ」昨年12月11日付は「他の追随を許さないのが日本共産党都議団の調査だ」と書き、共産党ギライの『週刊朝日』も2月23日号で「追及する赤旗に石原慎太郎が『白旗』?」と報じたほどでした。

2つめは、吉田氏は、昨年10月から早々と立候補を表明していたことです。民主党は独自の候補者を擁立しようとしたものの、あちこちで断られ、四苦八苦していました。浅野氏は今年3月になって“後だしジャンケン”的に立候補を表明しました。

この間、“市民派”を自称したり、そう見られている方々の間から、吉田氏と共産党に対して「降りろ」という声は少なからず聞かれましたが、民主党に対して「独自候補を擁立するな」と求めた声は聞いた記憶がありません。このダブルスタンダードはいったい何なのでしょうか?

辛さんは「吉田さんで勝とうと団結することは難しいことだったのだろうか。私にはわからない」とのべておられますが、“市民派”を自称する方々は、彼女の問いかけにどう答えるのでしょうか? まあ、ご自身も問われるのではないかとは思いますが。

もし「共産党だから」団結できない、と答えるのであれば、それは「反石原」よりも「反共」を優先させる、ということになり、それこそ“利敵行為”であり、「セクト主義」であるのではないでしょうか。市町村レベルでは、東京の狛江市や、「同和」利権で苦しめられていた自治体など、共産党員が保守を含めた住民から乞われて首長に立候補し、当選したケースがいくつかあります(最近では2月に長野県御代田町で、同和行政を追及してきた共産党の前町議が現職を破って当選しました)。保守の方々にとっては、“清水の舞台から飛び降りる”ような決断だったと思いますが、「反石原」より「反共」を優先して共産党との共同を拒む方々と比べると、大変勇気のある決断だと思います。

辛さんの問いかけを、胸に手を当ててよ~く考えてみる必要があるように感じます。

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コメント

TB2つもありがとうございます。
わたしと同じ事を書いておられて心強い。
言葉の本来の意味での無党派の人々をたぶらかす「似非無党派」だからこそ、ダンマリを決め込み、なんとしても「反石原」のフリをして「反共」を貫くのでしょう。
東京で汗水垂らし倹しく暮らす者のことなど、どうでも良いとおもっているヤカラどもであるからこそ、できることなのでしょう。
薄汚い「似非無党派」には、反吐が出ます。

投稿: ニッパチ | 2007年4月 7日 (土) 午後 10時59分

おひさしぶりです。

都知事選の結果は、予想通りでした。吉田さんが、予想よりも検討していたことに、むしろ、都民全体のなかに潜んでいる良識を感じました。

さっそく、兵庫県知事からひんしゅくをかうような、爆弾発言、妄言を吐いている石原氏です。
こういう都知事のヨイショ報道をし、そのおかげで、“面白可笑しい”政治報道をできてほくそえんでいるであろうメディアの感覚に、私は呆れていますが。

それにしても、私が住んでいる山梨県でも、同様の報道傾向。臆面もない、その開き直り加減は、石原慎太郎氏に負けず劣らぬ様相です。

投稿: Kyawa | 2007年4月 9日 (月) 午後 11時05分

はじめまして。私は都議会での日本共産党の働きには敬意を表する者で、決して「反共」などではないことをお断りしておきます。終わったことについてあれこれ言いたくありませんが、やはり戦略としては浅野氏で一本化すべきでした。私はこの問題に関して「どちらに正当性があるか」ではなく、「どちらが勝てる可能性が高い(高かった)か」という現実的な問題として捉えています。したがって民主党が野党としての役割を果たしてこなかった事実は、ここでの問題とは関係がありません。また吉田氏の主張が間違っていたわけではないし、浅野氏が100%正しいとも思いません。詳細な論拠についてここでは縷々述べませんが、知名度やより幅広い層からの支持という点において、失礼ながら吉田氏では最初から難しかったことは選挙結果からも明らかだと思います。それは決して、吉田氏が共産党の候補だったからだと言いたいのではありません。ただ「より正しい主張をする候補がより広い支持を得られる」というのは性急な理想論で、理想に至る過程ではある程度妥協してでも「よりまし」を選択するのが政治ってもんではないでしょうか。問題は共産党が、浅野氏を「よりまし」とは全く考えていなかったことですが。

投稿: jinne_lou | 2007年4月 9日 (月) 午後 11時39分

もうこの件については、振り返りたくもないのですが、首都東京での「共闘」の物理的困難さ、が今回も露呈してしまったというのが私の意見です。
東京は、様々な利権や行政企業の中枢の集中する場所です。
ここは、けっして「革新」なる勢力を断じて認めない!という強い意志と物理的打撃があります。ましてや、共闘や共同などという動きには、徹底的に楔を打ち込む必然性がある「地域」なのです。

たしかに、一部の左派市民派、「無党派」のダブルスタンダートにはまたしても反共主義が優先された、とでも言えるのでしょうが共産党の側にまったく責任がない訳でもなさそうです。
それは、意見や性格などの違いなどによる排除や、集団的なイジメに近いことを平然と成し遂げる一部「活動家」が、無批判的に「革新」側の運動を担っている点を敢えて取り上げたいのです。
世の中にいろいろな人間がいて、個性や人格があるのは周知の事実でしょう。ですが、普段声高に「社会的弱者の人権!」とか、「福祉と教育の充実を!」「非正規労働にたいする差別を止めろ!」と仰ってる勢力が、実に裏で見えないところでその「社会的弱者」にたいして、あるいは非正規の人間にたいして加えている集団的な暴力に近い卑劣な行為にたいしては、ハッキリと批判したいと思います。
正当性と無謬性、民主集中制の名の下にどれだけの人間個性を圧殺すれば気が済むのでしょうか?
そういう基本的な組織問題からも、徹底して自己批判して、「革新」の再建を考えたら良いのかも知れません。

投稿: kouta | 2007年4月25日 (水) 午後 02時05分

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