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2007年7月14日 (土)

不安定雇用が急速に増加

この5年間で、正社員・正職員が153万人減ったのに対して、パート・アルバイトや、短期雇用などの不安定雇用が173万人増えたという調査結果が出ました。

Yahoo!ニュース(毎日新聞)「<企業統計>事業所、従業員数が連続減少 非正社員は増加」

 総務省は13日、06年の事業所・企業統計調査をまとめた。5年ごとの調査で、全国の事業所数は前回01年調査から6.9%減の591万1000となり、3回連続で減少した。従業員数も2回連続で減少したが。日雇い労働者などの臨時雇用者は同6.1%増の160万7000人で、非正社員化の傾向が鮮明となっている。(7月13日23時8分配信)

総務省が発表した調査結果の概要はこちら

数字を、さらにこのサイトで見られるその前の回の調査(96年)の結果も含めて、調べてみると、

      (06年)     (01年)     (96年)
正社員  2916万人 ← 3069万人 ← 3451万人
非正社員 1597万人 ← 1433万人 ← 1102万人
臨時雇用  160万人 ←  152万人 ←  287万人

となります。つまり、この10年間で見ると、正社員は535万人減ったのに対して、非正社員は495万人増えています。臨時雇用が127万人減っていますから、非正社員と臨時雇用を合わせた不安定雇用全体では、369万人増えたことになります。

実は、この10年間で、雇用者全体は4840万人から4673万人に、167万人減っていますから、比率にすると、正社員は全体の71%だったのが62%に減ったのに、逆に不安定雇用は29%から38%に、つまり不安定雇用は《4人に1人》から《3人に1人》になったことになります。

日本の社会的格差が広がり、「ワーキング・プア」など貧困層が増大しているという問題が、ここ数年、いろいろな人から指摘されるようになりましたが、とくに、雇用の比重が非正規雇用にシフトしていることが、その要因の一つとして強調されています。

非正規雇用の増大をめぐる論評のなかには、「働き方の変化」、つまり労働者の自発的な選択によって広がったものだという主張もあります。しかし、個々の労働者について見れば、もちろん、そういうケースもあるわけですが、マクロで見れば、非正規雇用の増大が、政策的に持ち込まれたものだということが、明らかになります。

非正規雇用の拡大はもともと、1995年に、当時、財界の“労務担当”だった日経連(現在は日本経団連に合流)の労働問題研究委員会が報告書「新時代の『日本的経営』」で提唱した方向でした。この報告では、将来の雇用のあり方を3グループに分けて、幹部候補生のグループ以外は派遣・パートなど非常勤・有期雇用でまかなっていく方向を打ち出しました。

つまり、労働力商品の買い手である経営者側にとっては、雇用調整がやりやすくなる、人手が必要な時に簡単に雇用でき、不要になれば簡単にクビを切れるという、非常にオイシイ形になるわけで、こうした考えから、非正規雇用の拡大を一貫して要求してきました。で、歴代の政権は、この要求を丸々受け入れて、雇用面での「規制緩和」をガバッと進めてきたんですね。

まず、99年には、労働者派遣業務を原則として自由化しました。これには、自民、公明、民主、社民の各党が賛成し、反対したのは共産党だけでした。そして2003年には、労働者派遣を製造業に拡大しました。これには、自民、公明、保守が賛成し、反対したのは民主、共産、社民でした。

この間、労働力の売り手である労働者の側からは、非正規雇用の拡大を求める声は全く起こっていませんでした。この問題は、経営者の要求と、それを実現した政治の産物なのです。

規制緩和の成果がどのように現れたかは、上の調査で、派遣自由化をはさんだ96年と01年とを比較すれば、一目瞭然に分かります。正規雇用が400万人近く減って、非正規雇用が200万人増えています。派遣自由化を受けて、非正規雇用の拡大が一気に進んだわけです。「ワーキングプア」や「偽装請負」といった問題は、このもとで起きている現象ですね。

格差の拡大をどうとらえ、どう対処するのかという問題は、現在行われている参院選でも大きな争点の一つになっています。多くの党が格差問題について、是正すべきものと主張していますが、そうであるなら、格差拡大の契機となったこの問題に、各党が実際にどういう態度を取ってきたか、そして自らの態度について、現時点でどう考えているのか、厳しく問われなければならないと思います。

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コメント

1999年の労働法制改悪に、日本共産党以外の政党が賛成していたという事実は、この選挙のさなか、いくらでも強調しなきゃいけませんね。

投稿: Kyawa | 2007年7月18日 (水) 午後 07時19分

少し話しはずれますが。

ワークシェアリングという道もあったのでしょうが。
それは国民多数の合意にはなりえなかったということでしょうか。(現時点では。)

①収入を落として、余暇を楽しみ。
②仕事の負担を減らして、人生を楽しむ。
という選択はしなかったということも思えます。

(仕事とは、そのものも楽しいものですから、②の発想は悲しいですね。①はなかなか選びずらいのでしょうね。)

正社員が自分自身の働き方、給与待遇を振り返ることも、経営者の発想を転換させる上で大切なことだと思います。

非正規雇用を容認の土壌は、
①正社員の自己保身
②経営者の思考
が相互に支え合って醸成されていると思います。


投稿: ばぶ | 2007年7月18日 (水) 午後 11時42分

目障りかと思うが、一応コメントさせてもらう。
宮本顕治氏の死去によって、おおきく党が変わることはないであろうと思う。
何故なら、党自体が宮本氏によって戦後の相当期間維持拡大され、またその根拠たる現行綱領も、基本路線は宮本氏によって確立されたものだからだ。
党はおそらく社会民主主義になったり、協力共同関係が今より柔軟に、幅広く保守から「左翼」まで拡大されることはないだろう。それは党の独自性と存在意義(ブランドイメージ)を突き崩されかねないから、従来どおりのやり方を踏襲するに留まるだろう。
今回の参院選は、おそらく自公が過半数割れを引き起こすだろうが、政界の留まることを知らぬ流動化で、様々な組み合わせが想定される。
やはり、党においては厳しい時期が続くのであろう。

投稿: | 2007年7月20日 (金) 午後 02時57分

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