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2007年9月28日 (金)

大企業、収益は最高でも税負担は減少

企業収益が過去最高額を記録したそうですが、そのわりには私ら国民には回ってきてませんよねえ。

「企業収益また最高 06年度統計、給与も上昇」(asahi.com)

 財務省が27日発表した06年度の法人企業統計調査によると、全産業(金融・保険業除く)の売上高は前年度比3.9%増の1566兆4329億円、経常利益は同5.2%増の54兆3786億円だった。売上高は4年連続、経常利益は5年連続の増加で、ともに前年度に続いて過去最高を更新した。従業員1人当たりの平均給与は同1.3%増の約356万円で、4年ぶりに上昇した。
 製造業では、売上高が同3.5%増の450兆3358億円、経常利益は同9.3%増の23兆8066億円。携帯電話などの情報通信機械、輸送用機械などが好調だった。
 非製造業の売上高は、同4%増の1116兆970億円、経常利益は同2.2%増の30兆5720億円だった。不動産業と運輸業が利益を大きく伸ばした。
 全産業の設備投資は同14.3%増の44兆1365億円で、2年ぶりに増加した。

財務省が発表した調査結果は、こちらから見ることができるのですが(調査結果自体はPDFファイルなので注意)、何と便利なことに、主な項目については、年度ごとの推移を見ることができるのです! で、これを調べてみると、実はこの十数年間で、とんでもない事態が進んでいたということが分かりました。(ここから後では、本当は折れ線グラフで示すと、一目瞭然なのですが、エクセルの使い方が、いま一つよく分かっていないので、数字ばかり並んで、見づらくなっています。すみません)

まず、上の「朝日」報道の通り、2006年度の全産業での経常利益は54兆3786億円だったわけですが、このうち資本金10億円以上の企業(以下では、この企業を大企業と呼びます)では32兆8341億円でした。前の年度に比べて11.6%増ですから、、全体の平均の2倍以上の伸び率だったことになります。

こうした数字を、バブル経済期のピークといわれた1990年度と最新の2006年度との比較でみると、大企業とそれ以外の企業との格差がよく分かります。まず、経常利益では、全産業の伸びが43%増だったのに対し、大企業は75%もの増になっています。

配当金の合計で見ると、全産業では3.84倍になったのに対し、大企業は4.17倍になりました。役員の給与・賞与(ここは06年度末ではまだ集約できていないようなので、05年度末で比べることにします)は、全産業が19%増だったのに対し、大企業では2.2倍もの伸びになっています(給与だけだと全産業21%増に対し、大企業57%増)。とくに大企業ほど、ある意味驚異的(?)な伸びを見せています。(「以前が少なすぎたんだ」とおっしゃる方もいるかとは思いますが、その点についての評価はおいておきます)

では一方で、税収や給与などは、どれほど伸びているのか? まず従業員給与を見ると、全産業でも22%増と、経常利益の伸びほどは増えていませんが、大企業では、それをも下回る11%しか増えていませんでした。

さらに、税負担などですが、法人税・住民税・事業税と「租税公課」(税だけでなく、いくつかの公的な負担金なども含まれます)とを合計して見ると、全産業では3%減、大企業でも1%減とほぼ横ばいでした。

つまり、まとめると、大企業はバブル経済のころと比べて、全体の平均以上に利益を伸ばし、配当や役員の給与も増やしたのに、従業員の給与は大して伸びちゃいないし、税金は変わらない! というわけ。「朝日」の記事では、給与も増えたと書いていたけど、よくよく調べてみると、そんなことは全然ないわけです。お姉さんびっくりだ!(と、どっかの婦警さんみたいに言ってみる)。

さて、以前から日本の経済政策では、「企業が利益をあげれば、国民にもその余得が回ってくる」というスタンスだったわけですが、少なくとも、このバブル期以降で見てみると、企業、とくに大企業が利益をあげているのに、国民には回っていないということが分かりました。

とくに、これまでの自民党を中心とした政権のもとで、90年代後半から、「規制緩和」を柱とした「構造改革」の名で、民間企業、とくに大企業が参入し、利益をあげやすい環境をつくる一方で、税などの負担は一貫して引き下げる政策(たとえば法人税率は90年の37.5%から、98年には34.5%、99年以降は30%にまで下げています。88年には42%だったんですから!)が行われてきたことが、「大企業が利益をあげても国民に回らない」構図をつくる上で大きな役割を果たしてきたといえるでしょう。

さて、おりしも、先日の自民党総裁選で、元官房長官だった2世福田さんが幹事長のゴルゴ麻生さんを破り、安倍さんの後継の首相に就任しました。総裁選で福田さんは、「自立と共生」というフレーズで、格差社会の対策を口にしていました。格差社会を本気で是正するのなら、ここで指摘したような構造にメスを入れる必要があると思いますが、福田さんは首相として、どうするのでしょうか。

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