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2007年11月 8日 (木)

自衛隊の給油活動は、本当にテロ対策に有効か 伊勢崎賢治・東京外大教授が喝破(毎日jp)

「テロ対策」の名目で海上自衛隊が行っていた給油活動は、本当にテロ対策やアフガニスタン復興に役立っていたのか? そして給油活動は延長されるべきなのか? アフガンで国連による武装解除活動を指揮し、『武装解除 紛争屋が見た世界』(講談社現代新書)の著書もある伊勢崎賢治教授が、毎日新聞のインタビューで給油活動の延長問題を「バカげたこと」だと喝破しています。(強調の太字は私によるものです)

「特集ワイド:アフガンと日本の協力 武装解除指揮、伊勢崎賢治・東京外大教授に聞く」(毎日jp)

 ◇給油活動延長問題「実に、バカげたこと」--治安に力を

 国会の焦点となっているインド洋での海上自衛隊の給油活動延長問題だが、与野党対立の大騒ぎを、アフガンで武装解除を指揮した伊勢崎賢治・東京外語大教授(50)は「実にばかげたこと」と言い切る。それでは、アフガニスタン人は日本に何を求めているのか。【藤原章生】

 ◇後方支援の中でも最も目立たぬ作業/「大騒ぎ」…自分で墓穴掘ってリスク/テロリストの気を引いたようなもの

 「アフガン人と言っても北と南では全く違うし、元軍閥、タリバンに寝返る南部農民と、いろいろいて、中央政府も信頼されていない。その問いかけ自体が不毛ですね」。伊勢崎さんは、一刀両断にした。

 日本は2002年に始まった復興会議のホスト国だったが、今やアフガンでの存在感はほとんどないそうだ。「その揚げ句、どうでもいい給油活動を自分で騒ぎ、墓穴を掘って、自分でリスクをつくっている。こんなばかなことはない」と話す。

 海上自衛隊の活動を「どうでもいい」と言い切るのは、ワイドショーの断言調をまねているわけではない。それは経験者の至言だろう。

 88年からシエラレオネなどアフリカ3国でまる10年、非政府組織(NGO)職員として農村開発や戦後処理に当たった。その後、国連の上級民政官として東ティモールの復興、シエラレオネを経て、03年から04年まで、日本政府代表としてアフガンの軍閥解体を指揮した。そんな目で見ると、日本の政治家の内向が、ずいぶんと稚拙に映るようだ。

 参院選で圧勝した民主党の小沢一郎代表が、シーファー米大使と会談し、テロ対策特別措置法の延長反対を明確にした。この時点では「特措法の期限が切れても、黙っていれば大事にならない」程度のものだった。

 しかし、安倍晋三前首相が「職を賭して」と言い出し、一般のアフガン人はもちろんタリバンも軍閥も知らなかった給油問題が世界中に知られてしまった、と伊勢崎さんは言う。

 「PKO(平和維持活動)などのロジスティックス(後方支援)は大変なんだけど、目に見えないものは見えない。作戦上、蚊帳の外に置かれる。やはり地上戦でドンパチやっている(国々の)方が一目置かれる。しかも、給油はロジでも最も目立たず、民間でもできる仕事。国連の軍事作戦も民営化しているご時勢だから。そんな民間でできることを官がやるのは日本くらいかもしれない。自衛隊を送らなきゃ、という国内政局からでしょ。発想が逆なんです」

    *

 「逆」とは、アフガンという現場や支援内容よりも、自衛隊派遣そのものが目標になっているということだ。「とにかく出したい」という事情は、小泉純一郎政権下で特に強まった。

 「小泉さんが最初にやった自衛隊派遣は、東ティモールの国連のブルーヘルメット(平和維持部隊)。ロジのため、施設部隊約600人を送ったけど、ニーズは全くなかった。僕が現地にいたその2年前は、自衛隊がしていた橋や道路の補修はNGOにやらせていましたから」

 自衛隊はイラクのサマワでもそうだったが、土建作業がしっかりしており、礼儀正しいため評判はいいが、「現地での軍事的ニーズはありません」。

 では、民主、自民が大騒ぎして「墓穴を掘った」とはどういうことか。

 「周りが騒いだんじゃなくて、日本自身が騒いだ。テロリストの気を引くようなものです。日本は中立というイメージにひびが入り、アメリカに政治的影響がある、ソフトターゲットの日本を狙えばいいと、テロリストは考える。01年からの国策でアフガンで働いてきた、100人は下らない日本人(のNGO関係者ら)が確実に狙われる。このリスクをどう考えるかです。小沢さんが日本人を地上軍に送るなんて言っている、とアフガン国内に広まるわけですよ

    *

 伊勢崎さんは騒ぎの渦中、4度にわたり民主党に招かれ、アフガンの実情を説明した。小沢代表は、給油活動の一部である不朽の自由作戦(OEF)に参加する「米軍協力」ではなく、原則としては、国連決議に基づく国際治安支援部隊(ISAF)への参加が正しい、と主張する。だが、実情を聞いた民主党幹部の戸惑いを見ると「根本に小沢さんの勘違いがあった」と伊勢崎さんはみる。

 なぜなら、「OEFもISAFも指揮権は北大西洋条約機構(NATO)軍にあり、武器の使用基準も国連が定めたわけではない。日本は条約関係のないNATO軍に自衛隊をゆだねることなどできない。だから、派兵すれば明らかに違憲なんです」。

 小沢さんの問題提起自体がはなから間違っていたわけだ。

 では、日本は今後、どうアフガンにかかわればいいのか。

 「給油などより、米国のために治安分野を立て直せば日米関係は悪くならない。アフガンの武装解除を完了させた日本に米国は頭が上がらないんです。そのためにはまず(アフガンから外国軍が出ていくための)土台である治安維持の分野に、日本政府代表を送り込むことです」

 問題は国際的、政治的センスがあり、軍事もわかる人材がいるのかどうかだが、「ダイナミックな人事が必要。内向きではだめ」と言い切る。「外部から採用し、全権を与えるのが条件です」

 と言うのも、伊勢崎さんが日本政府代表でカブールにいたとき、全権がなかった分、「仕事のエネルギーの半分以上を日本の外務省とのやりとりに奪われた」からだ。

 そんな思いきったことができるかどうか、すべてはこの国の政治力にかかっている。

この特集では、日本のNGOからアフガンに派遣されて教育支援に従事されていた方のコメントも紹介しています。民主党は給油活動の延長問題に対する「対案」として、ISAFへ参加するという考えを示していますが、これについて、この方も「復興に役立っていない」と批判しています。

 ◇教育が大事--日本のNGOからアフガンに派遣され、2年半、教育支援に当たった深尾剛司さん(34)の話

 日本はISAFなど軍事的作戦に参加していない。だからこそ市民に評価されている。ISAFの復興支援は軍事活動の露払いにすぎない。本当の意味で復興に役立っているとは誰も思っていない。

 アフガンで大事なのは教育だ。考える能力が身につき、扇動されにくくなり、仕事の幅も広がり、人権意識も高まる。しかし、25年以上も戦争状態が続くこの国では、親世代のほとんどが教育を知らず、読み書きもできない。女子は学校に行かなくていい、男子は10歳を超えたら労働力という考えが根強く、これを変えるのは本当に難しい。

 カブールはましだが、地方は教師役も少ない。教育省に識字教育担当相が置かれているが、これは日本の提案で実現したものだ。日本は地道な活動を続けるべきだ。

 人々の心を変えていかなければ、何十年も殺りくが続いたこの国を平和に導くのは難しい。今でも殺し合いが続いているからこそ、あきらめてはいけないと感じている。【聞き手、ニューデリー栗田慎一】

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