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2008年1月30日 (水)

マックの店長は「管理職とはいえない」! 残業代支払い命じる

ハンバーガーのマクドナルドの店長が「店長は管理職ではない」として、未払いの残業代の支払いを求めていたのに対して、東京地裁が請求を認める判決を出しました。

「マクドナルド残業代請求訴訟 権限なく管理職でない 熊谷の店長に755万円 東京地裁、支払い命じる」(埼玉新聞=共同通信)

 日本マクドナルドの熊谷市の店長高野広志さん(46)が「権限のない店長を管理職扱いし、残業代を支払わないのは不当」として、2年分の未払い残業代約517万円など計約1350万円の支払いを求めた訴訟の判決で、東京地裁は28日、残業代など計約755万円を支払うよう同社に命じた。

 経営者と一体的で、残業代の支払い義務がない「管理監督者」に当たるかどうかが争点で、斎藤巌裁判官は、直営店店長の高野さんの職務内容を具体的に検討。「職務や権限は店舗内の事項に限られ、経営者と一体的といえる重要なものではない。労働時間の裁量もない」として、管理職には当たらないと判断した。

 原告側の弁護士によると、外食産業チェーン店の店長への残業代不払いをめぐり同様の問題は多いとされるが、大企業のケースでの判決は初めて。日本マクドナルドの直営店店長は約1700人に上っており、ほかのチェーン店を含め、大きな影響を与えそうだ。

 同社は控訴する方針。

 判決によると、高野さんは1987年に入社し、99年に店長に昇格。管理監督者として扱われ、規定時間を超え働いても割増賃金は支払われなかった。

 判決理由で斎藤裁判官は、店長の権限について「アルバイト採用やシフト作成など店舗運営で重要な職務を負うが、営業時間や料金は決められず、社員の採用権限もない。会社が提供する営業戦略やマニュアルに従う店舗責任者にとどまる」と判断。「一部店長は部下の年収を下回り、待遇も不十分。自ら勤務シフトに入らざるを得ず、長時間の労働を余儀なくされる」などと指摘した。

 高野さんは、時効にかからない2003年12月―05年11月の残業代を請求。判決はほぼ同額の残業代と労働基準法上の制裁的意味合いの付加金約251万円の支払いを命じた。慰謝料の請求は退けた。

 高野さん側は「残業が100時間を超えた月もあった。出退勤の自由裁量はなく、売り上げ計画や予算作成の裁量にも乏しく、十分な手当もない」などと主張。

 マクドナルド側は「アルバイトの採用権限や評価、予算作成など店長は店舗経営に関し幅広い権限を持つ管理監督者。給与も優遇され、勤務時間も主体的に決められる」と反論していた。

◇「こんな働き方で管理職か」
 「こんな働き方をしている労働者が管理監督者なのか」。残業が月百時間を超え、2カ月間も休みがなかったこともあるというマクドナルド店長高野広志さん(46)。アルバイトと同様に接客、調理、清掃もするが、残業代はつかない。「同じような境遇の店長を救いたい」と決意し闘ってきただけに、勝訴の判決に感無量の表情を見せた。

 高野さんは1987年に入社。12年後に店長になったが、部下には社員が1人いるかいないか。ほかは30―50人程度のアルバイトだ。

 店長として、アルバイトの採用や教育、シフト作成、金銭管理などの業務をこなし、店頭や調理場にも立つ。忙しい時期は、午前7時の開店に間に合うよう午前6時に出勤し、午後11時の閉店まで働いた。成果主義が導入され、人件費削減のため自らシフト入り。一方で、会社から営業時間の延長が指示されたり、作成した売り上げ計画が認められないなど、権限は限定的だったという。

 収入も増えず「これでは過労死する」と2005年5月、労働組合の「東京管理職ユニオン」に駆け込み、会社を相手に提訴。ほかの店長からは「会社のイメージを損ねた」との非難も受けたが、06年5月には社内で初めての「日本マクドナルドユニオン」が結成され、長時間残業の解消要求などが始まった。「会社の常識は世間の非常識」と知ったという高野さん。「多くの職場で店長という名の下に、過酷な労働を強いられている。人間らしい働き方を実現したい」と法廷で訴えた。

 管理監督者ではないと明確に否定した判決を得て「知識がないのは本当に怖い。自分たちは管理監督者に当てはまらないと知ってもらいたい」と、多くの“店長”らに呼び掛けた。

◇管理職“名目化”を批判 求められる労働条件改善
 【解説】マクドナルドの店長への残業代支払いを命じた28日の東京地裁判決は、これまで同種訴訟で積み上げられた判断を踏襲して具体的な労働実態を検討、名目だけ「管理職」扱いする安易な経営者側の姿勢を批判する形となった。

 残業代の支払い義務が生じない労働基準法上の「管理監督者」に該当するかをめぐって争われる訴訟は多い。労働問題に詳しい弁護士によると、背景には、権限もないのに管理職にし、残業代を浮かせて経費削減を図ろうとする意図がある。

 ほかの大手外食産業では店長を管理職扱いするかどうか、対応は分かれているのが実情だが、飲食店などの営業時間が深夜や早朝に及び、年中無休になるに従って、店長という肩書を与えるだけで、長時間にわたるサービス残業を強いるケースも多くあるという。

 管理監督者に当たるかどうかは、あくまで個別の会社ごとの実態によって判断されるため、今回の判決が、そのままほかの事例に当てはまるとはいえない。

 しかし、国内最大規模の外食産業であるマクドナルドに対する司法判断の意味は重く、同社を含め労働条件の改善に向けた取り組みが求められる。【共同】

チェーン店の店長を、管理職としての実態がないにもかかわらず、名目上「管理職」として、残業代を支払わないケースは、上の記事にもある通り、行政や司法によって、相次いで断罪されています。

この零細ブログでも、昨年、「コナカ」の店長が名目だけの「管理職」とされていたのに対し、労働基準監督署が残業代の支払いを命じた件を紹介しましたが、この時の労基署の指導も、「店長」が社員の4割を占めていること、出退勤時間などについて自由裁量がないことなどを指摘し、実態として管理職とはいえないと判断しています。あわせて紹介した、銀行の支店長代理の残業代をめぐる訴訟の判決でも、この点が重要な判断ポイントとなっていますね。

これだけ司法・行政の判断が相次いでいるわけですから、会社側も名目だけの「管理職」を“乱造”して、残業代の支払いを免れようとするのはやめるべきだし、そもそも国がそういうことは許さん! ということを明確にする指導を出すべきなんですよね。

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