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2008年2月10日 (日)

「正社員化は0.2% 偽装請負で厚労省の指導後」(アサヒ・コム)

雇用の現場で、違法な「偽装請負」が大きな問題になっています。厚生労働省が是正を指導する必要があるわけですが、指導がされた後も、労働者の正社員化がほとんど進んでいないことが、分かりました。

asahi.com:「正社員化は0.2% 偽装請負で厚労省の指導後」

 違法な偽装請負をしたとして、厚生労働省から指導を受けた請負事業者の労働者のうち、指導後に発注先企業の正社員になれた人が全体の0.2%にとどまることが8日、厚労省の集計で分かった。派遣可能期間を超えて働いていた派遣労働者では、指導により派遣先の正社員になれた人はゼロ。厚労省の指導のあり方を問う声が高まりそうだ。

 同日の衆院予算委員会で、共産党の志位和夫氏の質問に答えた。06年12月に偽装請負で文書指導した219事業所の請負労働者8404人と、派遣期間の違反で文書指導した8事業所の派遣労働者74人について、厚労省が07年3月末の雇用状況を調べていた。

 集計によると、請負労働者の場合、発注先企業が直接雇ったのは全体の5.5%の467人で、そのうち雇用期間の定めがない正社員は18人だけ。32.2%の2708人は派遣労働者に切り替えられ、55.9%の4704人は請負労働者のままだった。離職者も4.2%の361人いた。

 期間制限を超えていた派遣労働者では、56.7%の42人が派遣先企業で直接雇用されたが、正社員は皆無。離職者は17.5%の13人。

 厚労省は「指導後の雇用形態まで指定して指導はできない」(需給調整事業課)としている。この日の委員会で舛添厚労相は「企業も、社会的な責任を果たしていますと胸を張っていえる企業になってほしい」と述べた。

この質問は日本共産党の志位和夫委員長が行ったもので、「しんぶん赤旗」10日付には、質問が全文掲載されています。また、あの動画共有サイト「YouTube」では、質問の中継録画を丸ごと見ることができます。時間にして50分ぐらいですが、火の出るような質問で大変見ごたえがあります。

この質問で志位委員長は、全国で321万人いるといわれる派遣労働者のうち、最も不安定な立場におかれている《日雇い派遣》について、①登録するとケータイにメールで集合時間と仕事先が送られてくるものの、派遣期間は1日だけで、翌日も仕事があるかどうかは分からないという《究極ともいえる不安定性》②労働時間は8時間でも、集合から解散までの拘束時間が長く、重労働でも手取りは1日6千~7千円という《異常な低賃金》③何の経験もない労働を何の教育もなしに日替わりでさせられ、《危険が伴う》―など過酷な実態を紹介し、福田首相の認識をただしました。

これに対して福田首相は、「労働者の側から一定のニーズがあるという反面、不安定な働き方で見直すべきだという意見もある」と他人事な答弁。志位委員長が「(日雇い派遣で生活せざるを得ない人々は、……正社員の就職ができない、リストラにあった、当座の生活費すらない。そういう様々の理由から派遣を選ばざるを得ない。生きるすべが他になく、やむなくこの仕事についている人々を『ニーズがある』とは呼べない」とバッサリ。「日雇い派遣で最も深刻なのは、人間を文字通りの消耗品として使い捨てる、究極の非人間的な労働だということだ」とのべて、日雇い派遣という雇用形態そのものが広がっていく現状に歯止めをかけるよう迫ると、首相も「私も、日雇いという形は決して好ましいものではないと思っている」と答えました。

志位委員長はまた、人材派遣大手のグッドウィルが行っていた、派遣労働を禁じられた業種での違法派遣や、二重派遣、「偽装請負」について取り上げ、一連の事件でグッドウィルなど派遣業の許可を得ている企業は、行政処分は受けても刑事告訴は受けていないこと、さらに、これらの違法な派遣を受け入れていたトヨタ自動車やキヤノン、松下電器や東芝など派遣先企業には何のオトガメもないことを指弾。上の「朝日」記事にあるように、「偽装請負」が摘発された219事業所の請負労働者8404人のうち、正社員になったのはたった18人、率では0.2%しかおらず、離職した人が361人(4.2%)、全体の9割は相変わらず派遣や請負で働いていることを指摘して、「派遣法は派遣元・派遣先の企業は保護するけれども、労働者は保護していない」とのべました。福田首相は「労働者の雇用が失われないよう、派遣元・派遣先の企業に改善指導している」と答えた程度でした。改善指導していたとしても、現に実態がこれでは、効果は全然あがっていないということじゃないですか。

さらに志位委員長は、政府が派遣労働を導入する時に、“あくまでも一時的・臨時的な場合に限定する”“正社員を派遣に置き換えることはしてはならない”としてきたことにふれ、この点がいまも変わっていないことを首相に確認させたうえで、実際にはキヤノンが正社員から派遣への置き換えを大規模に進めていることを、御手洗富士夫・経団連会長の出身県の大分県にある「キヤノンマテリアル」という企業では、2880人の労働者のうち半分が派遣であること、滋賀県のキヤノン長浜工場では3000人の労働者のうち半数以上が派遣労働者で、トナーカートリッジの製造ラインでは丸ごと派遣労働者によって担われていることを明らかにし、調査に入るよう要求しました。これには福田首相も「実態がどうなっているか、厚生労働省に確認させたい。日雇い労働者の適正化をはじめ、労働者派遣制度の見直しに取り組んでいきたい」と答えざるを得ませんでした。

ここまでの議論を踏まえて、志位委員長がILOのレポートも紹介して、「日本の経済と社会の前途を考えても、人間らしい雇用のルールの確立は急務だ。“非正規雇用の増は長期的には持続可能な発展は望めない”という警告をどう受け止めるか」とただすと、福田首相も「中長期的に見た場合、そういう雇用の形は決して好ましくない」と応じました。

マルクスは『資本論』で、《労働力》という商品の価値(これを貨幣額で表したものが《賃金》になります)について、「労働力の所有者は、きょうの労働を終えたならば、明日もまた、力と健康との同じ条件のもとで同じ過程を繰り返すことができなければならない。したがって、生活諸手段の総量は、労働する個人を…その正常な生活状態で維持するのに足りるものでなければならない」と、消費された労働力を正常に再生産できる水準が必要になるとともに、労働力の世代交代によって新たに労働力市場に補充されるべき労働者の子どもたちの生活費や、さらに、労働力が「特定の労働部門における技能と熟練とに到達し、発達した独特な労働力になる」ための養成・修業費も含まれることを明らかにしました。そして、賃金が労働力の価値以下にまで下がった場合は、労働力は「ただ委縮した形態でしか維持され発揮され得ない」ようになることも警告しています。

『資本論』では、“理論的な平均的状態”を想定しているため、労働力の正常な再生産ができない水準への賃金の切り下げについては、それが資本による搾取を強める大きな要因になると示唆している程度ですが(資本による搾取は、これがなくても強められます)、現実には上の質問でもくわしく紹介されているように、酷使されすぎたり、結婚も子育てもできないなど、労働力を萎縮させる過酷な低賃金労働が横行しています。低賃金労働の典型的な形態となっている日雇い派遣について、「中長期的には決して好ましくない」とまで断言したのですから、やめさせるようきちんと踏み出してもらいたいものです。

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コメント

厚生労働省 「役務提供契約」という偽装請負や二重派遣の是正を

官庁は「役務提供契約」※を“請負または委託契約”にて大半の業務を発注しています。


また、官庁に同調し、地方自治体においても同様に偽装請負や二重派遣が日常化しています。厚生労働省は、なぜ官庁の是正指導に動かないのでしょうか・・。

そもそも「役務提供契約」※は、基本的に委託契約や請負契約に準じています。そのため、受注者も安易に外注に業務を丸投げという図式なのです。ところが、実際は現地の発注者から外注に指示が出ています。そして、自ずと「偽装請負」や「二重派遣」という結果を招いてしまっているのです。官が是正し、地方自治体が是正し、それから民間が襟を正すのが本来の姿ではないでしょうか。官による「役務提供契約」と民間の派遣契約を業務別に区分し、早急な改善を望むものです。官は率先して偽装請負を解消すべきです。

※委託者が専門的な知識や技能及び技術情報等の役務を提供し、受託者がこれに対する報酬を支払うことを約すことによって成立する契約。官庁や地方自治体で使われている。

◆人事総務部ブログ&リンク集
 http://www.xn--3kq4dp1l5y0dq7t.jp/

投稿: 人事総務部-ブログ&リンク集- | 2009年5月14日 (木) 午後 08時15分

“無料求人誌”は雇用創出する社会インフラ
◆求人誌を支えてきたのは派遣業界
ここ数年、派遣業界を支えてきた「無料求人誌」が、そしてその「ラック(棚)」消えています。この度の雇用崩壊で、最もその影響が顕著に現れているのが求人誌です。とくに無料求人誌は、主な鉄道駅やコンビニから街中から、場所によってはそのラックごとすべて消えつつあります。求人が減少するのは雇用崩壊の勢で仕方がない話ですが、こうした現象は、求人誌がいかに派遣業界に支えられ発展成長してきたかという証です。
◆求人誌は「社会インフラ」の一つ
◆今こそ問われる「求人誌の真価」
 求人業界はこれまで景気上昇と共に発展成長してきましたが、少し業績が悪化したことを事由に、業界が構築したこの「社会インフラ」を崩壊させてしまう責任をどのようにするつもりでしょうか。果たして、それは一企業にとって都合が良い時だけの一時的な社会インフラだったのでしょうか。世界同時不況の直撃を受けた今こそ、雇用創出のために「無料求人誌」の真価が、そして会社存在のあり方が問われるべきです。
詳細は下記ブログを参照下さい
◆人事総務部ブログ&リンク集
 http://www.xn--3kq4dp1l5y0dq7t.jp/

投稿: 人事総務部-ブログ&リンク集- | 2009年5月14日 (木) 午後 08時16分

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