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2008年2月14日 (木)

バレンタインデーに異議を申し立てる男たち

14日は「バレンタインデー」なのですね。私があげたとかもらったとか、やさぐれたとか、どのようなかかわり方をしたかは禁則事項ですが、異議を唱えて立ち上がった人たちがいるそうです。

「バレンタインデーに異議!『失われた世代』非モテ男 雇用不安・薄給…『女性が敬遠』 将来語れぬ恋愛格差 ルックス・年収より癒やし・支えを」(東京新聞TOKYO Web)

 今日14日は、バレンタインデー。女性が男性にチョコを贈るイベントに世間が沸く一方で、ちまたの華やかさとは無縁の男性もいる。そんなモテない若い男性たちがインターネットを介して結集し、グループをつくっている。題して「革命的非モテ同盟」。彼らの言い分に耳を傾けると、モテない個人の背後にある「社会の問題」が浮かび上がってくる。 (岩岡千景)

この「非モテ同盟」、おもな活動はクリスマスやバレンタイン(もちろん「12・24」とか「2・14」とかいうんでしょうね)に、アキバやシブヤをデモ行進する――ということらしいのですが、面白いのは、単なる個人的なヒガミではなく、なかなか「出会い」が持てない背景に社会のゆがみがあることを、彼(女)らなりの目で見ていることです。

記事では、メンバーの1人、ススムさん(32歳、男性)の言葉を紹介しています。

 「僕らの世代はフリーターや非正規雇用で職を転々とし、経済的に不安定で将来に展望が持てない人間が多い。そういう男に女性はついてこない。イケメンか、事業で一発当てたやつでもなきゃ、まずモテないんですよ」
 ススムさん自身、東京の理系一流大学を卒業しながら、コンピューター関連の仕事を世紀や非正規雇用で転々としてきた。この10年間に勤めた企業は6社。
 「僕の新卒時は就職口がなく、かろうじて就職できたのがコンピューター専門職のシステムエンジニア(SE)。同級生の多くは、得意な分野でもないのにSEになり、年収300万円前後で業界を渡り歩いてきた」と話す。
その業界は薄給なうえ労働が過酷な職場も多く、「金曜日に受注し月曜日に納品するため土、日つぶして仕事なんてこともザラ。出会いの機会もつくりにくいし、出会いがあっても恋人関係を維持しにくい

また、別の参加者の男性(26)の発言も紹介。彼は、この世代には生きづらさを抱える人が多いとして、

「僕も引きこもり経験があるけど、仲間には就職試験を何十社も落ちて引きこもりになった人もいる。今まで個人のやる気の問題とされてきたニートなどの問題の背景には、経済や雇用など、僕たちを取り巻く現代の社会構造的な問題がある」

と指摘します。

記事では、若い男性の収入と結婚との関係について、年収が高いほど既婚率も高いという、独立行政法人《労働政策研究・研修機構》が2005年6月に公表したレポート(PDFファイルなので注意)を紹介。このレポートに記載された調査結果(ファイルの91ページに出ています)によると、20代後半の男性の既婚率は、年収1000万円台なら73.9%なのに、500万円台では52.7%、200万円台では22.8%になるそうです。(ちなみに、東京新聞の記事では紹介されていませんが、30代前半の男性では、1000万円台は71.1%、500万円台では71.0%、200万円台では40.8%になっています)

そのうえで、経済アナリストの森永卓郎氏に話を聞いています。森永氏は、バブル経済崩壊後の非正規雇用の増加が、“年収の低い非正規社員は結婚できない”傾向を生みだした、としたうえで、その改善のためには、

「福利厚生や社会保険などを含め、あらゆる労働条件で正社員と非正規社員の待遇差別をやめるべきだ。企業には非正規雇用を増やす利点がなくなり、雇用格差の解消につながる」

とのべています。

さて、女性の側はこの事態をどう見ているのか――、ということで、記事では、恋愛関連の著作も多い作家の檀れいさん(34)にも話を聞いています。檀さんは、いまは女性が働き続けるのもごく普通のことだとして、

「働く女は案外疲れていて、ちょっとした慰めや励ましの言葉に弱い。高年収やイケメンでなくても、一緒にいて癒やされる男性を求める女性は少なくないと思う」

と、コメントし、“まず一言話す”ことから始めてみては――との“アドバイス”をしています。

で、記事では、まとめとして、「まずは女性を安心させる存在になるのが、恋愛成就への一歩かも」としているわけですが、読んだ方々はどうお考えになるでしょうか。

1人の男性が、ある女性とどのようにして“友達”関係を始め、恋愛関係に発展させていくか、ということでは、記事のアドバイスのように、“まず一言話す”ことから踏み出すことは、確かに大事だと思います。

ただ、記事の冒頭に出ている“非モテ”男性たちが異を唱えているのは、そうした個別事例にとどまらない、いわばマクロの問題だと思うんですね。ススムさんの「出会いがあっても恋人関係を維持しにくい」というのは、そのことをよくあらわしていると思います。

また、檀さんの「働く女は案外疲れていて」という指摘も、どうしてそうなるのかという背景を考えてみると、非正規雇用が激増したのは男性だけでなく、女性も同じだということ、女性は男性よりさらに低い賃金で働いていること、などがあるのではないかと感じるわけです。労働で疲れていて、ちょっとした慰めや励ましを求めているのは、女性も男性も変わらないんじゃないかしら。

先ほどの調査結果では、同世代の女性についても示されていますが、女性の場合、“家事手伝い”から結婚したり、結婚して専業主婦化する場合も多いとみられるため、《収入なし》層も既婚率が6~8割に達していますが、この階層を除けば、“年収が高いほど既婚率も高い”傾向は男性と変わらないと思います。

記事では、ツカミが面白かっただけに、こうした点についてもっと突っ込んでほしかったんですが、いかがでしょうか。

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